能力開発データベース

■能力開発技法

ウォーク・ラリー





概要 特徴と効果 実施の手順 実施・開発上の留意点

■概要

ウォーク・ラリー(歩行ラリー)は、個人および集団の問題解決能力を野外でのグループによる集団行動を通して向上させていこうとする技法です。

ラリーとは、数日間にわたる長距離自動車競技の一種で、指定されたスピードと時間で決められたルートの各区間を走り、ゴールに至るまで多くのチェック・ポイントを通過し、減点方式で順位が決められます。これをウォーク(歩行)によって数人のグループで行うのが「ウォーク・ラリー」です。

日本では、昭和40年代のはじめ頃から、集団活動の意義やチームワークの重要性を体得させる技法として、管理者、中堅社員、さらには新入社員向けの教育プログラムの一環として実施されています。

「オリエンテーリング」という用語もほぼ同等に説明されることもあります。地図の上に指定されたいくつかの地点(チェック・ポイント)を地図や磁石を使って発見していくやり方は似ていますが、チェックポイントの設定、採点方法などが異なり、区別して理解すべきです。

「オリエンテーリング」では、できるだけ短時間でチェックポイントを通過し、ゴールに到達することを競うものですが、「ウォーク・ラリー」では、野外でのグループ活動を、あくまで仕事の改善、職場風土の改善に応用することを主なねらいとして開発されることが多いため、それぞれの目的とするところは、おのずと異なることになります。


■特徴と効果

ウォーク・ラリーには次のような効果が期待できます。

  • 地図をもとに未知のところを歩き、指定されたチェック・ポイントを捜し出す過程で、分析力や判断力を養うことができる。
  • グループで行動することによって、協調性や積極性を養うことができる。
  • 野外で身体を使い汗を流すことによって、レクリエーションと同じような効果を期待することができる。
  • 職場を単位にチームを組めば、職場のチーム作りや活性化に役立てることができる。
しかし、下手をすると、ただのお遊びで終わってしまうおそれがあるため、なんのためにやるのかという研修の目的をはっきりさせておくことや、受講者自身が何を学びとったかを受講者自身に自覚させるようにすることが大切です。

■実施の手順

ウォーク・ラリーを活用するときには、次のようなステップで実施します。

@コースを設定する。
全行程は4〜5キロメートルくらい、所要時間は4時間くらいが適当。
Aチェック・ポイントを設定する。
10カ所くらいが適当。
場合によっては、チェック・ポイントでクイズなどの課題を提示することもある。
B簡略化した地図に、チェックポイントを示したコマ地図を作成する。
Cチームで行動する。
2〜3人の小人数でチームを組む方法もあるが、5〜6人くらいのチームを組む方法が一般的である。
D所持品を用意する。
地図、磁石、ストップ・ウォッチ、筆記用具などの備品を用意する。
E順位を決定する。
ラリー方式の場合は所定の方式による減点方式で、オリエンテーリングの場合は、チェックポイント通過の確認とゴールに到着した順番で順位を決定する。


■実施・開発上の留意点

ウォーク・ラリーやオリエンテーリングを効果的に進めるためには、次のような点に留意することが大切です。

  • 実施の目的・目標を明確にする。
    目的・目標に見合った場所、コース、チェックポイントの設定を行うこと。また、チーム分けも重要な要素となる。

  • 楽しくやる工夫をする。
    ウォーク・ラリーは野外活動であり、レクリエーションと同じような性格をもっているので、楽しいものにしていくことが大切である。勝利チームの賞品に工夫をしたり、終了した後のパーティーが盛り上がるように工夫することが重要である。

  • チームワークを強調する。
    ウォーク・ラリーはメンバーの協調性や積極性を養成することも大きな目的である。
    ラリーの途中や終了した後で、フィードバック・ミーティング(またはクリティーク)を実施して、自分たちのチームワークについて検討してみることも大切である。

  • 安全を確保する。
    多少の危険が伴うことはやむをえないが、その場合は、十分に安全が確保できるようにスタッフが事前の配慮をしておくことが重要である。