2022年3号「技能と技術」誌309号
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図1 令和2年度版表紙障がいの有無を応募要件としていない高等職業技術専門校において,多くの科目にメンタル面やコミュニケーション面に特に課題を抱える訓練生の増加が顕著であり,一般校の既存の訓練科目に入校される精神障がいのある方等への指導員の対応力の強化をめざすことを目的として,これまで障がい科目で蓄積した対応法や校内支援体制,障がい者支援に関する社会資源とその活用法などについてノウハウ普及と生徒への対応力・指導力強化に向けたさまざまな事業を展開している。3.1 現状把握アンケートの実施初年度の取り組みとして,各校での現状を把握するため,一般校4校での訓練継続に課題を抱える生徒や就職活動の際に困難性の高い生徒(以下,「課題のある生徒」という)の訓練での特徴的な言動や担当指導員が行った対応について全指導員を対象としてアンケートを実施し,対応時の苦慮したことなどについて聞取りを行った。特に指導経験の浅い,入庁10年目までの指導員から多数の対応に苦慮したとの内容が見受けられた。3.2 検討事例の抽出と検討会の実施回答のあった17件について,事務局で内容の確認を行った。本年度のカウンセリング検討会で取り上げる事例として,各校より2~3件,4校で9件の事例を選定した。(残りの8事例は次年度に検討することとした。)選定した9事例の担当指導員と専門職員および障がい者訓練担当指導員等をメンバーとして事例検討会を実施,1回当たり3事例ずつディスカッション形式での意見交換により訓練の中で見られた訓練生の特徴的な言動やコミュニケーション面など本人の特性を確認し,訓練における指導のポイントや対応にあたっての課題の整理を行った。そして事例検討-15-の最後に,精神保健福祉士より今後の対応法や就労支援に向けたアドバイスをしてもらう形で,個々の困難事例への対応について検討を行った。また,一般校からの事例と併せて,夕陽丘校の精神・発達障がい科目からも事例を発表し,一般科目担当指導員と共有することで,一般科目と障がい科目で取り得る対応の違いを知るなど,指導員相互の研さんを図ることができた。検討会で取り扱った事例について,指導員の生徒対応の状況や専門職員,障がい科目担当指導員からの意見やアドバイスなど出された情報を,事例集として冊子にまとめ,今後の生徒対応の参考としてもらえるように全指導員を対象として各校に配布した。作成にあたり以下の様に進めた。4.1 取り上げる項目について事例集の作成過程で,指導員が生徒対応で特に苦慮した点や,対応を振り返り今後,改善した方が良かったと思う点について共通した項目が見えてきた。その点について項目ごとにまとめ,「こんな時は2.ノウハウ普及事業について3.指導員の生徒対応における課題の把握4.事例集の作成

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