book
9/40

図11 手押しかんな盤の例図12 教材見直し後の満足の頂いた点について図13 今後の改善を要する点について-7-通念上,要求される相当な手段方法を講じておれば,安全配慮義務を尽くしていることになるとされる。この相当の手段方法を我々は日々考えなければならないことになる。研修中における聞き取りと研修後のアンケートの分析結果をもとに,「安全衛生活動の継続の意義と重要性」の意識付けについて,研修教材の見直検討を行った。すでに新教材による研修を50人余り行っており,そのアンケート結果を図12及び図13に示した。図12は新教材による見直し改善後のアンケート結果で,本来の目的であった安全衛生に対する意識付け効果が十分とは言えないが,多少現れているものと考察される。また,図13は研修全体に対する意見,要望であり,これらは今後の課題である。5.4 安全配慮義務は防止手段を尽くす義務災害が発生すると,誰それが悪い,責任は誰だなどと犯人捜しをする。しかし,安全配慮義務は結果責任有りではなく,必要な防止手段が尽くされていたかがポイントとされる。例えば,図11に示す手押しカンナ盤を考えてみると,構造規格は接触予防装置やブレーキ等を設けていなければならないが,しかし,危険な刃の部分は,危険だからといって全部覆ってしまったのでは,カンナ盤としての役割を果たさない。危険な刃の部分はどうしても残ってしまう。「カンナ盤は危ないから使うな!」としたら,手持ちカンナで削るしかない。それは社会の技術進歩を阻害し逆行することは明らかである。最高裁が示すように,カンナ盤の性能とハード的な安全装置が十分に講じられていて,安全配慮義務の物的手段は尽くされていること,あとはそれらを使用する人への安全教育を十分にして,そのやり方を教えて,カンナ盤作業を十分に行える人を従事させ,監視,監督しておくことで安全配慮義務が尽くされたと考えるべきとしている。前に述べたように危険はいたる所に存在していて,現場の危険は残っている現状については,社会6.研修の実施結果

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る