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図3 筆者講習状況1-32-能力を持たなければならない」とある。また,訓練生(受講者)から信頼され好まれる10の条件に①熱意を持って指導してくれること,⑦説明が上手で,“ああ分かった”,“できるようになった”という実感を持つように教えてくれること。⑧勉強を面白く感じさせてくれること。等々があり受講者からは,講師は,上記の条件において何らかの満足感を与えてくれるものと思われがちである。受講年代や受講目的,受講条件(1級技能士合格者など)にばらつきがある受講者を対象に講習する(図3,図4)となると,従来のような講習では受講満足を与えることが出来ない。そのとき,受講者の声を聞くことが重要な要素になるのではないかと考えた。講習の目的がどこまで達成されたか,講習の方法は的を射ていたか,講習の当事者である「受講者の声」を聞くことが最も有効であり,受講者には「良い講習を受ける権利」があり,講師には「受講者の声を聞く義務」がある,と考えている。「受講者による講習評価」は,メーカーが自社商品に関する顧客満足度調査を行い,今後の改良・改善に役立てようとするのとまったく同じである。コンビニなら毎日の売れ筋で,店頭の品揃えが変わり,消費者の嗜好がすぐ分析され,それが商品開発につながる。「受講者による講習評価」が「講師の意識」を変える。結果としてそのことが「講習を変える」ことになり,講習の改善・改革につながる。5.2.3 自由記載について ①平成27年度DVDの設定が悪く音声や映像が出ない等の不具合を生じた点の指摘が多々有った。そのため,次年度からDVDでの視聴を中止している。また講習スピードにも指摘があったため次年度からは,DVD視聴を無くした時間を大事な事項の繰り返し説明に当てた。基本的には試験対策を重視していたが,歴史的背景の説明を盛り込むようにした。 ②平成28 年度基本的には試験対策として端的に説明を行い,重要事項を繰り返し説明することを行った。平成27年度に要望があった歴史的背景も若干ではあるが説明に盛り込むことで要望意見には記述が見られなかった。 ③平成29年度多数の記述が肯定意見であった。要望等意見はほとんどなく講習が支持され,2年間の講習で改善が見られたことが考えられる。講師として,担当する講習が快適に進み,受講者の反応や理解度において十分な感触を得たと感じたときほど,充実感と満足感に浸ることはない。また逆に,講習が一方通行で一向に受講者の反応や理解が示されないときほど,後味が悪く,虚脱感と自分の無能さに悩まされる。しかし,この講習に対する講師の満足や不満足さえも,講師の一方的な感覚であって,講習の良し悪しの評価は,講習の主体的当事者である受講者に聞いてみなければ分からないはずである。今回「受講者による講習評価」を試みて痛感したことは,受講者が表明した意見は有益かつ責任あるもので,講師の考え方次第で講習の良し悪しが決まるということである。講習担当の「職業訓練原理」には,職業訓練指導員の役割と求められる資質という項目がある。その中で「指導員は,知識や技術を効果的に指導する6.まとめ

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