4/2018
23/36

-21-・国内はアメリカ型市場の整備が進んでいる。 (問題点)・失業率が高い。(23.9%)・現行のK12の教育制度における中学,高校生の職業教育システムの構築が急務。・大型開発に対応する高度技術者の養成が必要。・基盤となる工業産業が育っていない・大都市における交通インフラの問題がPH全体の経済効率に悪影響を与えている。2.3 科学・技術PHの技術レベルに関しては他の先進国と比べて,基幹となる工業の存在がないことは大きな問題であり,特に工業製造業の分野は遅れている。ほとんどの工業製品は輸入に頼り,そのため工業技術は修理やメンテナンス業務に,豊富な若年層の人材を活用する輸出型の産業構造にならない点が問題である。将来的には先進諸国の科学技術を取り入れ,人材を活用する状況が望まれる。PHではIT,IoT,医療,農業関連の技術は進んでいるが,技術教育の基礎となる若年層の数学,科学等の基礎教育の必要性が叫ばれている。特にK12教育制度の変更によるこの分野の教育が望まれている。科学技術を支える各種研究分野の充実も必要であり,高等教育の改善も必要である。大学院大学,高等技術研究所,民間の企業の研究開発の構築が必要である。PHの労働者,研究者の最大の有利な点は英語の能力である。アジアの中で唯一の英語圏である特性はグローバルな人材の最大の資質であり,これを活用しない手はない。現在PHで不足している技術分野は,工業製造業,環境保全,交通インフラ(ある研究によればマニラ首都圏の交通渋滞による経済的損失は一日3.5ビリオンペソにものぼるという。)である。そのほか災害対応(台風,地震等)と農業関連技術である。AI,IoT等のコンピュータ技術者の能力は高く,グローバルスタンダードである。将来的には国際的な人材交流が望まれる。PHの政府機関としてDOST(Department of Science and Technology)があり各種産業分野での研究,技術移転が行われているが国際的な連関での活動が望まれる。現政権は「Golden Age」として (問題点)・大統領は国民の直接選挙で選ばれるので,人気投票的になりがちである。・政治,行政での汚職が改まらない。・地方政治がその地域の首長により左右されやすい。・地域開発に長期的視点があまりない。毎年繰り返す自然災害対策,火災による住民被害,地震等。・貧困対策,失業率の改善,就学率等。・多くの島々も固有の政治形態が複雑に存在している。・マニラに政治が集中しすぎている。・人権問題などの真の民主主義の確立に時間が必要。2.2 経済・市場PHはアセアン諸国の中で一番経済が安定し,2017年のGDPは6.7%,2018年予想では7.5%を目指して,好調な海外からの投資が期待されている。一時問題が発生したが,OFW(海外出稼ぎ労働者)からの本国への送金も国家予算の10%に及んでいる。また,現政権の「Build,Build,Build」政策による大型インフラ整備,各地方の大型交通網,飛行場整備,災害対策,社会施設の建築等,全国的な開発計画が2023年の大統領任期中の実現に向けて進められている。また,PHのビジネスの特徴であるBPO(Business Process Outsourcing)や世界一の規模であるコールセンター等,現在世界第三の市場規模を持つアセアンとの関係も密接である。中国,アメリカ,日本との経済交流は盛んでEUとの関係の構築に現政権は努力している。PH全土での経済開発による人手の問題,高度技術者の養成が急務である。失業率の改善にも効果が期待できる。まとめ (可能性)・アセアン諸国で一番のGDP率。・中国,アメリカ,EU,日本,アセアン諸国からの投資が活発。・アセアンは世界第三の規模の経済圏。・現政権の開発優先政策により,多くの人材が必要となり,失業率や貧困の改善に期待される。・PH国内のコミュニケーション・ネットワークの整備が進んでいる。

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る