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図1 PHの職業教育を構成する要素の相関網-20-ただ,PHは1自治区(マニラ),73州,1,531マニシパリティ(町),41,196バランガイ(最小行政単位)で,マニラに権限が集中する問題がある。多くの島々の物理的距離等が影響し,地域とマニラとの意思疎通が難しいのも事実である。これに対して現政権では「Federalism」という各地域に行政権を委譲する連邦制国家の構築を計画している。これにより,各州が自立し,独自の経済発展と地場産業の確立を目指すよう行政の改革が求められている。PHの政治は大統領制度で一般市民の直接選挙で選ばれるため,人気投票的な政権が生まれる可能性もあり,また,汚職の体質がなくなることが重要である。まとめ (可能性)・短期的な政策は実現しやすい。例えば麻薬対策,汚職,禁煙等。・大統領の個性が政治に反映する。・アセアン諸国の中で政治的に一番安定している。・官僚が優秀である。・「Federalism(連邦国家制)」への期待がある。2.1 政治・行政PHの政治は現政権への不安があったが,現状のところ,おおむね安定している。大統領の支持率は80%以上。麻薬対策は効果が現れており,社会の隅々まで浸透している麻薬のジレンマからの解消に繋がることを期待している。実際,若い層の汚染はひどく,これが就業意欲の低下にも繋がっている。東アジアの中で一番政権が安定して,軍部の掌握も現状のところ保たれている。現政権は大型のインフラの案件をテコに全土の活性化を計画している。特に建設関連の案件は多数あり,関連労働者の需要は大きい。海外との関係も一時は現政権の過激さが心配されたが,アメリカ,中国,日本,アセアンと関係は経済協力を基に良好な状態を維持している。ただ,領有権の微妙な問題もあり,現政権の対応が注目されている。PHの行政は優秀な官僚が支配し,民主主義的な運営をしており,アメリカ的な大統領制度を導入しており,政策の立案,執行が早い。2.PHの職業教育を構成する要素

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