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<参考文献>る。そうであるならば,この自己流の入力方法が時間を要する要因であるか否かを検討する必要がある。そこで,打鍵データに加えて,訓練生がどのキーをどの指で打鍵したかの打鍵指の情報を定量的に把握することによって,検討の手掛かりが得られると考える。また,仮に障害特性によって既存のキー配列では,どうしても自己流になり,効果的な入力ができないと判断できれば,キー配置の変更を提案できる。そして,訓練生の障害特性に起因する癖に合わせたタイピングしやすいキー配置のキーボードにすることで,入力速度の向上に寄与できると思われる。そのためには,今回製作したキー入力の記録とキー配置変更機能だけではなく,キーの入力データに対応した打鍵指の情報記録機能を追加した新しい機器の製作が必要となる。そして,この機器による記録結果に基づけば,キー配置を変更したキーボードの「キー配置を習得するための練習」に反映させることができると考える。さらに,吉備職リハのOA事務科・経理事務科は,事務職を目指す訓練生を対象としているため,タッチタイピングの練習問題は,事務文書でよく使われる単語とフレーズを多く含む定型文を取り入れ,目指す職種により適した入力問題となるよう検討しな-21-[1]監訳者 栗山節郎,訳者 川島敏夫「ブラッド・ウォーカー ストレッチングと筋の解剖(原書第2版)」pp.11-24(2013)[2]監修 林典雄,編者 鵜飼建志「セラピストのための機能解剖学的ストレッチング 上肢」pp.2-15(2016)[3]同上pp.217-242(2016)[4]独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構「上肢に障害を有する者に対する職業訓練の実践研究報告書~事務系職種編~」pp.86-93(2009)http://www.jeed.or.jp/disability/supporter/intellectual/report_jyoushi01.html(2017年7月25日) ければならない。今後は,キー入力記録機器によるデータ分析がタッチタイピング習得の個別指導に活用できることを提案していきたい。また,タイピングを定量的に計測するための機器製作については,ものづくりを得意とする中国能開大が担い,障害者職業訓練におけるタッチタイピングの訓練方法については,吉備職リハが実証・提案を担い,お互いの得意分野で連携しながらタッチタイピングメソッドの開発を進めていきたい。将来的には,上肢障害の有無や程度に影響を受けないすべての訓練生が利用できるタッチタイピング教材の作成を目指していきたい。

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