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が社会へ進出していければいいと思った」等の回答が見られた。3.1 「女子会」の意義と課題ここまでの取組みを総括すると,まず,平成26年度と平成27年度第1回に開催したセミナーでは,コース横断的な女性受講者同士の双方向のコミュニケーションの機会を確保することにより,潜在的に他の女性との交流や情報交換の場を求めていた受講者のニーズを満たすことができた。しかし,特定のテーマを指定した場合であっても,参加者同士が自由な会話をする状況に置かれるため,主催者側が就職活動について考えるきっかけの提供を意図して,会話の過程で就職活動に関する論点を提示しても,参加者同士が論点から逸脱して関連性のない雑談を始める場面がしばしば見受けられた。また,参加者のグループごとの会話が主となるため,グループ内に入った,ファシリテーターを担当する職員個々の職種や就職支援に関する専門知識の有無,職務経験,コミュニケーションスキルの差から,参加者の対話を促すことを意図した話題提供や助言の方法が効果的ではない場合があり,参加者全員が女性の就職に関する十分な情報提供を受け,気づきを得ることが困難な状況も見受けられた。平成27年度第2回に実施したセミナーにおいては,女性である講演者自身の経験に基づくロールモデルの提供により,ものづくりの現場における女性特有の視点を生かした改善活動の有効性を示すことができ,参加者へものづくり業界への就職に関する気づきを提供することができた。しかし,講話においては講師から参加者への一方向的な情報伝達が主であるため,受講者同士の会話を通じた交流の場の確保が困難となり,訓練コースを超えた情報交換を望む受講者のニーズを満たすことは難しくなるという課題があった。-7-3.2 平成28年度「女性訓練生応援セミナー」平成27年度までの課題を克服するため,平成28年度においては,訓練生相互の意見交換の場と,就職講話の双方を取り入れ,「女性訓練生応援セミナー」と題するセミナーを開催した。企画内容を「ものづくり企業における女性の活躍」に設定し,構成は,①ものづくり企業における女性の活躍をテーマとする就職講話,②就職講話を受けた受講者同士のグループ討議の二部構成とした。就職講話の実施に当たっては,すべての参加者に女性の就職に関する十分な情報提供が可能となるよう,雇用情勢やものづくり企業での女性活躍の現況,事業所が女性に期待することについて,あらかじめ説明することとした。また,グループ討議の実施に当たっては,「ものづくり企業における女性の採用を進める予定はないという企業が,女性を採用しない理由,加えて,企業において女性の活躍を妨げる要因として考えられること」というテーマを指定すると共に,討議における意思決定のルールを設け,討議中の論点からの逸脱を少なくするよう工夫した。参加者の募集に当たっては,企画の意図がより明確に伝わるよう,開催案内チラシに,技術職としてものづくり企業への就職を目指す女性受講者を対象に,ものづくり企業の人材ニーズを理解し,自らの強みを再認識した上で,自信を持って就職活動に臨めるよう後押しする旨をセンターとして初めて明示し,女性が在籍するコースの担当指導員を通じて配付し参加を促した。当日は,まず,就職講話を実施し,現在の雇用情勢とものづくり企業での女性活躍の現況を説明した。有効求人倍率の推移から,オイルショックやバブル崩壊,リーマンショックを経て今は就職活動する者にとっては好機であること,併せて女性活躍推進法の施行等,国も女性の活躍を後押しするよう努めており,女性活躍への機運が高まっている状況にある旨を説明した。次に,男女雇用機会均等法が施行した昭和60年と女性活躍推進法が施行した平成27年に着目し,国の3.「女性訓練生応援セミナー」の開催

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