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表1 技能五輪国際大会の職種(アブダビ大会)によって開催される,参加国・地域の職業訓練の振興と参加者の国際親善・交流を目的とした青年技能者による国際競技大会である。この大会は,第2次大戦後の技能労働者不足を背景として,1950年にスペインの職業青年団が提唱して隣国ポルトガルとの間で各12人の選手が,マドリードで技能を競ったことが始まりである。年々,参加国数および出場選手数ともに増加し,青年技能者の祭典として発展してきた。技能五輪国際大会での職種については新職種の導入や開催国の要請,参加定員割れにより入れ替わりがある。アブダビ大会での職種を表1にまとめる。49の公式職種に2つのデモンストレーション職種を加え,計51職種であった。この他,1つのエキシビション職種(表彰,公式記録はない)「水処理技術」が実施された。2017年11月に開催された技能五輪全国大会栃木大会の職種(4)と比べるといずれかにしかない職種がある。これについては,日本国独自の技能職種,技能五輪全国大会以外で選手の選考を行う職種,全く選手を派遣しない職種(*)が含まれる。選手を派遣しない理由は競技課題の内容,全国大会のレベルが大きく異なる場合や,教育訓練システムの違いで,年齢的に出場できる選手が見込めない場合である。ほとんどの職種(34)で,国際大会の前年に開催される全国大会が代表選考会となっている(3)。参加資格は大会開催年に満22歳以下(製造チームチャレンジ,メカトロニクス,情報ネットワーク施工及び航空機整備については満25歳以下)の者である。過去に参加していない者に限る。派遣選手は各国・地域で一職種につき1名または1組(製造チームチャレンジは3名,メカトロニクス,移動式ロボット,造園,コンクリート施工は2名),競技時間は15~22時間で,競技日数は4日間である。使用言語は英語である。競技課題の理解,交渉の対応などに通訳の同伴が選手とエキスパートのために認められている。日本は1962年スペインのヒホンで開催された大会から参加しており,翌年のアイルランド大会の派遣選手選考が,技能五輪全国大会を開催する契機となった。これまで日本では1970年の東京大会,1985注.()内は第44回国際大会参加選手数。技能五輪全国大会職種との対応:ポリメカニクス=精密機器組立て,機械製図CAD=機械製図,CNC旋盤=旋盤,CNCフライス盤=フライス盤,溶接=電気溶接,試作モデル製作=木型,貨物輸送と3Dデジタルゲームアートはデモ職種,*は選手を派遣しなかった職種,**は全国大会以外で選手を選考した職種-31-年の大阪大会そして2007年の静岡大会と3度開催されている。なお,2007年については国際アビリンピックも同時開催されたため,2007年の静岡大会はユニバーサル五輪国際大会とも呼ばれている。また,現在は上述のように,2023年の愛知大会の開催立候補を国が決定し,アブダビ大会の総会の場で日本が表明したところである。

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