2/2018
32/42

職業能力開発総合大学校 垣本  映*第44回技能五輪国際大会アブダビ大会(以下,「アブダビ大会」という。)に技術代表(TD:Technical Delegate)として参加した。中東初の技能五輪国際大会であった。2017年10月7日から21日まで15日間の出張である。国際大会に初めて参加したライプチヒ大会では技術幹事として,日本チームの職種会場を巡回することができたが,サンパウロ大会では技術代表として,審判長(JP:Jury President)の役割があり,担当した電工職種(職種:競技種目)内の規則違反の申し立て(競技場内作成資料の持ち帰り等)に対する紛争解決(技術委員会による裁定)に終始追われたことを思い出す。アブダビ大会でも審判長を務めたが,担当した広告美術職種内では問題こそ起こったものの,審判長チームリーダーを含めた話し合いで解決し,紛争に至らなかったことは幸いであった。アブダビ大会に向けては,通訳抽選制の導入,エキスパートのアクセスプログラム(大会参加のための事前研修)の受講義務化への対応や,選手強化委員会などさまざまな取組みを日本チームとして行った。政府広報インターネットTV番組(1)にも出演させていただいた。大会主催者の準備に種々の問題があったとはいえ,全体として成績が振るわなかったことが悔やまれる。本稿では,アブダビ大会の概要,技能五輪国際大会の内容,技術代表の役割,審判長の役割,アブダ*現 浜松職業能力開発短期大学校 校長-30-ビ大会の四方山話,TVET(Technical Vocational Education and Training)ユースフォーラムについて述べる。アブダビ大会は2017年10月14日から19日までの6日間,アブダビ国際展示場(ADNEC)にて開催された。アブダビ大会の選手派遣国は59カ国,選手数は1250名であった。前回の59か国,1189名から約5%増大し過去最大の大会となった。エキスパート(競技委員)はほぼ同数,また通訳も約400名で,登録した関係者だけで3000名以上になり,主催者によると大会期間中10万人以上の来場者があったとされる。特に小中学生や高校生など多数訪れた。日本の製造業,ものづくりへの信頼性を欠くような検査偽装など不正事件が相次いだ昨今,日本がこれまで輝かしい成績を残してきた技能五輪国際大会で,選手の活躍が期待された大会であった。残念ながら結果は前回を下回ることとなった。競技開始前々日の総会の最後に,日本での技能五輪国際大会招致につき,厚生労働省の和田審議官が立候補の意思を表明しており,大会で前回を上回る結果を残して招致に弾みをつけたいところであった。技能五輪国際大会(WorldSkills Competition)は,1971年以降ほぼ2年に一度,ワールドスキルズインターナショナル(WSI:WorldSkills International)(2)(3)1.はじめに2.アブダビ大会概要3.技能五輪国際大会とは第44回技能五輪国際大会アブダビ大会を終えて

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る