2/2018
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<参考文献>女性受講者を対象に実施してきたこれまでの就職支援セミナーを振り返ると,参加者へのアンケートにおいては好意的な感想も見られ,ある程度は受講者に自らの就職活動について考える機会を提供することができたと思われるが,一方で,引き続き検討し,解決への道筋を見出していく必要がある課題も残されている。まず,潜在的ニーズを含め,多様な女性受講者側のニーズの存在を前提に,その時々に応じて必要な就職支援の内容を考える必要がある。ポリテク関西においては,毎月受講者が入所するため,入所・修了時期が異なり,また,女性受講者の枠内においても様々な就職希望を持った,年齢や前職が異なる受講者が混在するため,時期に応じて多様な受講者ニーズがあると考えられる。就職先希望も異なる中で,各受講者が共通的に情報提供を望んでいるテーマをくみ取る必要がある。企画段階で潜在的なニーズの把握を行わずに進めると,受講者ニーズとかい離したセミナーを実施してしまう恐れがある。そのため,女性のみを対象とした就職支援セミナーの取組み以前から実施していた,受講期間中の個別相談や「就職活動パワーアップセミナー」の際に,女性受講者から多く寄せられる質問を都度集約する等,ニーズを的確に把握した上でセミナーのテーマを設定する必要がある。併せて,センターに通所する多くの女性受講者が住所地近隣の事業所への就職を希望するため,そのような企業の女性に対する人材ニーズの調査や,女性の修了生の就職後の様子の調査により,事業所に求められている人材や,活躍している就職先分野,就職後のキャリアパス等の現況を明らかにし,これらを女性受講者に紹介することで,就職活動や自らのキャリアプランの作成へ役立てるよう促すことも有用であると考える。 また,これまではセミナー形式で年に2回程度実施し,参加者が毎回10名程度と横ばいである。より多くの女性受講者を対象に支援を行うには,参加者-10-[1] 厚生労働省「第10次職業能力開発基本計画 ―生産性向上に向けた人材育成戦略」 (http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11801000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku-Soumuka/0000122975.pdf)[2][3]湯浅幸敏・黒田征也:「女性の就業促進に向けたニーズ調査について」『技能と技術』(平成26年4月)[4][5]厚生労働省「平成27年版 働く女性の実情」 (http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/15.html) [6] 「ものづくり企業における女性技能者の活用実態」『Business Labor Trend』(2013.11)を増やすことが必要であり,主催者側からの参加するメリットの効果的な提示が求められる。しかし,セミナーへの参加が就職活動へ与える影響やメリットが十分に検証されていなければ,その提示は困難である。セミナー形式でより多くの女性受講者に支援を行うためには,セミナー受講前後の女性受講者の就職活動の進め方や,自己アピール方法の変化を追跡する等,セミナー受講後の効果を検証しながらその実施手法を確立し,既存の個別相談や「就職活動パワーアップセミナー」等の取組みと連動する形で広く女性受講者へ情報提供しながら,参加によるメリットを提示し,積極的な参加を促すことも必要であると考えられる。今後も,現在のような状況が続く場合,ポリテクにおける女性受講者及び企業のニーズを考慮した就職支援の取組みを継続的に実施することは,長期的に見れば,支援の事例を蓄積することにつながり,受講者特性に応じた就職支援ノウハウの作成にも寄与するものであると考える。4.今後の課題

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