2/2018
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図4 「コンセンサス」方式の内容(ポリテク関西就職支援アドバイザー作成)討議を進めるよう促し,その結果,以下のとおり意見が出された。《グループA》・企業では,女性に「お茶くみ」等,単調な仕事を任せることが多くあり,女性がやるだけで,その仕事まで軽く見られることが多かった。・企業が女性には単純な仕事をさせておけば良いと判断し,重要な仕事を任せないようにしている。・企業から力仕事に対応できないと判断される。・女性が活躍できる環境が整っていない。・わが国の慣習上,育児や介護を女性が担ったことから,勤務に時間的制約があり,長期的な仕事や大きな仕事を任せられないと判断される。《グループB》・ポリテクでは男性の中に1人だけ混ざっている女性もいるが,多くの企業では女性用更衣室がない等,女性の受け入れ体制を整えていない。・職場に女性が複数名いるだけで,しまりが無く,だらけた雰囲気が出る。・幼稚園を訪問し,電気を修理する等のケースでは,女性が訪問した方が喜ばれるのではないか。・結婚や出産において女性に負担がかかるので,たとえやりたい仕事があったとしても女性側はあきらめざるを得ず,結果として,正社員を希望していたとしてもパートタイマーとなるケースがある。・家族から機械を使う仕事の危険性を指摘され,ものづくりの職に就くことに反対される。-9-続いて,各グループの意見を総括し,グループA・Bとも共通して,「企業が女性の受け入れ体制を整えていない」ことを示していたこと,また,グループAはその要因を主に企業側の立場に絞って指摘していたが,グループBでは女性側の立場においても検討した上,「家族の反対」という内容も挙げていたことを指摘した。この討議結果に加えて,企業側から見た女性の活躍を妨げる要因に関する調査結果を提示し,企業が女性の活躍を妨げる要因として,多いものから順に「女性技能者に向いている仕事が少ない」「家事や育児の負担を考慮する必要がある」「活躍を望む女性が少ない」「女性技能者の確保が難しい」「残業・出張・転勤をさせにくい」「結婚や出産で退職する女性が多い」という内容が挙げられている点を紹介した。最後に,女性の活躍を進めるための対策として,企業においては,一般に,①女性が働きやすい職場環境の整備,②仕事と家庭の両立支援,③女性管理職の登用が必要であると考えられること,現在の女性活躍推進という社会情勢を認識した上で,今後の就職活動や職業人生を考えて行動していくように呼びかけ,セミナーは終了した。参加者アンケートの結果においては,「グループワークでは,他科の女性から業界情報を聞くことができ有意義な時間を過ごせた」「グループワークで女性の活躍を妨げる要因の出し合いができ,共感できる部分があった」「男性の中で1人混じって訓練を受講する女性の話が聞けて,有難かった」等の回答が見られた。このように,現在の雇用情勢とものづくり企業での女性活躍の現況,女性の就業・就職に関する情報提供と,参加者同士のグループ討議の場を設けた結果,参加者が自らの置かれている雇用情勢に関する理解を深め,同時に,他コースの女性受講者と共通のテーマを議論することで,自らを取り巻く現況について考える機会を提供できたと思われる。

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