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図1 女性の年齢階級別労働力率(厚生労働省「平成27年版 働く女性の実情」より作成)図2 産業別女性雇用者数(厚生労働省「平成27年版 働く女性の実情」より作成)図3 女性の活躍状況と具体的な仕事の内容(「女性の就業促進に向けたニーズ調査について」『技能と技術』より作成)政策的な面でも女性活躍を後押しする傾向が見られる点を提示した。その根拠として,この30年間に育児休業法(後の育児・介護休業法),パートタイム労働法,次世代育成支援対策推進法が制定されていること,人口動態の観点から女性の年齢階級別労働力率を比較すると,平成27年においては25~34歳の年齢層が,昭和60年に比べ20~30%増加しており,第1児出産を機に離職する女性の割合が,昭和60年と比較し低くなっている点を示した(図1)[4]。また,女性の就業分野が,昭和60年から平成27年までの間で変化していることを示した(図2)。具体的には,昭和60年は,1位がサービス業(464万人),2位が製造業(435万人)であったが,平成27年は1位が医療・福祉(578万人)となっている点を指摘した[5]。さらに,ポリテク関西が実施した女性技能者の活用実態調査結果から,大阪府下のものづくり分野事業所を対象とした調査結果を紹介し,女性が活躍する具体的な仕事の内容についても併せて示した(図3)。加えて,ものづくり企業における女性技能者の活用実態調査結果[6]に基づき,企業が女性従業員に期待することは「細かいところまで行き届いた仕事を-8-する」「粘り強く長時間同じ作業に取り組む力」「作業が早く,ミスが少ない」「女性ならではの視点による職場の改善」「女性の存在による職場の活性化」「資格取得に積極的」等であることを示した。また,企業が女性技能者の採用を進める理由については「男女を問わず優秀な人材を確保できる」が最も多く,次いで「職場を活性化する」が多いこと,その根拠は「女性が入ったことで現場の雰囲気が見違えるように明るくなった」「男性は,上司より同年代の女性に注意されたときのほうが, 素直に言うことを聞く」というものであった旨を示した。さらに,一部の企業からは「パートタイマーの女性採用による人的コスト削減」,「企業イメージ向上による優秀な人材確保」,「社会貢献や地域貢献」,「法律での規定」という回答もあった旨も併せて提示し,すべての企業が女性の活躍を前向きに捉えているものではない点を指摘した。講話の後,参加者の女性受講者8名が2グループ(各グループ4名,受講者のみ)に分かれた討議を実施し,その成果を発表した。なお,グループ討議の前に,あらかじめ意思決定の一方式である「コンセンサス」方式を紹介し,グループとしての意思決定にあたっては,このルールに従って進めるよう呼びかけた(図4)。その後,グループごとに「ものづくり企業における女性の採用を進める予定がない企業が,女性を採用しない理由,加えて,企業において女性の活躍を妨げる要因として考えられること」というテーマで

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