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表1 職業訓練に取り入れたアジャイル手法図2 指導方法の流れログラミング)・評価それぞれに専門の技術者が存在し,役割分担が明確である。ウォーターフォールモデル開発手法の強みは,大規模開発に優れているが,ソフトウェア開発においては十分な経験が必要となる。一方,アジャイル型開発手法は計画,設計,実装,テストを短い期間で繰り返していくことで,開発者と利用者の不安が少ない状態で製品を開発することができる。アジャイル型はPDCAスパイラルアップと同じと思われがちだが,PDCAスパイラルアップは仕様書により開発順位を前もって決め,大きく仕様と外れたものは構築せず,仕様書に記載されている内容の質をあげていく。一方,アジャイル開発手法は仕様書を守るよりも,利用者・評価者との対話を重視し,動く製品を見てもらい,利用者と協調しながら開発を進めていくものであり,仕様書(計画)よりも利用者の声の変化に対応したものづくり手法である。また,ウォーターフォールモデル開発手法やPDCAスパイラルアップ開発手法と比べて満足度が高い(4)。アジャイル開発手法の強みは「計画時には,ビジネス上,システム上の課題が未解決,開始後も変更の可能性大」となる開発に強いことである。すなわち,新規分野として適用例がまだまだ少ないIoTとは相性が良く,異なる専門の技術者と連携していくものづくりにおいて効果が発揮されている。アジャイル開発手法を踏まえた指導方法を図2に示す。本手法は短期間かつ少数の学生で制作する専門課程の総合制作と相性が良い。アジャイル開発手法には,XP,スクラム等様々な手法があり,それぞれの手法にいくつかのプラクティスがある。最終的には表1に示す手法を用いて専門課程の総合制作に取り組ませた。学生は企画の段階で開発未経験者が多いため,早い段階で基礎的な知識と技能を習得するよう指示を行った。スプリントにある2~4週間程度の期間は,実際の訓練は4月から9月までは200分/週,10月からは400分/週であるため,2か月以内とした。また,スプリントレビューについては,職員以外とした。実際のアジャイル開発において評価者は製品が納品されるユーザだが,今回の指導法で-2-は,親子モノづくり教室や展示会等での制作物を見たお客様とした。その評価を学生が受け取ることで高いモチベーションの維持と自信につなげている。加えて,当校の広報にも役立つ結果となった。

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