1/2018
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作品を見ながら制作の様子を振り返る指導担当の石川先生丸,三角,四角,線などの要素が造形やデザインにおいて,「それが何を意味するか?」「それをどのようにするとどう見えるか?」ということを考えさせるところから始めていましたが,奥行きをさほど感じない作品に仕上がっていましたので,最初に見たときは衝撃を受けました。私であれば,立体的に見えるような効果を平面で出そうと,もっと手を加えますので。実は今回応募したすべての作品については,一切手を加えていません。学生たちに任せてみました。これまでは「こうした方が,動きが出るよね?」などと指導することもありましたし,コンセプトの意味がわからないときは文章の添削もしていました。今回は,グラフィックソフトであれこれ修正を加えるなら,その前にラフスケッチに描き加えること,ラフスケッチを完全再現することだけは徹底させました。看板というものはパッと見て何が書いてあるかわからないといけないため,「少ない要素でどう表現しよう?」と考えながら作品を生み出したと思います。きっと,デザインの専門家が見ると「おかしいよね?」と思われるようなものが少なからず含まれていたと思います。ただ,やっぱりこのような評価をいただきますと,基本は基本として,それをどう飲み込んで表現するかは,まったく別の話であるということに,逆に気づかされました。センター揃え-35-になってないといけないとか,シンメトリーにしなければならないとか,頭でっかちになって考えて押し付けがちですが,そういうことを一切考えないで自由な発想で作っていることが私にとっては「新しい」と感じました。また,全員そうでしたが,余白を怖がらなかったですね。普通であれば,余白に何かを入れたがるのですが。無理やりうめようと考えずに素直に作ったことで余白がうまれ,この余白があるからこそ作品が生きていると感じました。あと,看板屋では縁起物なので,斜めにするのであれば右肩上がりしなさいと伝えていたのですが,それが今回の作品に影響したようですね(笑)。-表紙デザイン募集についてですが,広告看板科での訓練に役立っていますでしょうか?グラデーションやレイヤーの扱いなど,グラフィックソフトのスキルを確認することができます。それから,デザインや造形について考えるきっかけになりますし,また,デザインの難しさを気づかせることもできます。自分が考えていることを限られた条件のもとで表現することはとても大変です。あと,自分の作品を評価してもらえることも大きいですね。訓練において役立っていますので,このまま継続してほしいと思います。-村川さん,石川先生,お忙しい中インタビューを受けていただきありがとうございました。インタビューを通してお二人の喜びを間近で感じることができ,本誌編集事務局にとっても大変有意義な機会となりました。また,石川先生曰く,今回の受賞は同校にとって初の快挙とのことでした。受賞の喜びは同校のFacebookにも掲載されていますので,併せてご覧になってください。https://www.facebook.com/sendaigisen.pref.miyagi/※2017年12月19日に投稿されています

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