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<参考文献>(1) 佐善圭:岡崎女子短期大学研究紀要, 43(2010), 31-40.(2) 辻宏達:九州龍谷短期大学紀要, 48(2002), 47-57.(3) エキグチクニオ:和をあそぶ江戸の切り紙, 誠文堂新光社, (2008), 78-79.(4) 東北歴史博物館ホームページ(http://www.thm.pref.miyagi.jp/exhibition/detail.php?log&data_id=875).まり変形しないが,さらに荷重が加わり,ピッチの小さい部分の変形が収束すると,次にピッチの大きい部分の変形が起こる。すなわち,初段階は変形しやすいが,次段階は変形しにくくなるという力学応答特性を示す。同様の力学応答特性は,竹の子ばねやプログレッシブ重ね板ばねでも見られる(21)が,いずれにしても,全て圧縮荷重下での利用が前提であり,引張荷重を想定する上記用途には適用できない。仮に引張荷重でこうした力学応答特性に近い特性を求めたとしても,初めのうちは変形しにくく,荷重が増すと大きく変形する,という上記用途における要求特性と順序が逆転するため,やはり適用できない。つまり,ばねでは実現しがたい力学応答特性を切り紙構造では容易に実現できる。日本固有の文化の中で古くから親しまれてきた切り紙構造を,単なる意匠的用途としてではなく,現代的用途としてより積極的な活用が進めば新たな価値が生まれてこよう。今回,切り紙構造の特性を見る中で防災・減災の用途展開への一可能性にも触れたが,可能性のある用途展開先としてはこれに限らないと考えている。用途や素材,デザイン面で無限の組合せがある切り紙構造が多分野の技術者・技能者に注目され,様々な観点で現代的な用途にアレンジし,新たなイノベーションが起こることを期待したい。博物館所蔵品の写真をご提供頂きました東北歴史博物館に深く御礼を申し上げます。-19-(5) 磯部翠, 武居淳, 奥村剛:特願2016-082472.(6) A. Lamoureux, K. Lee, M. Shlian, S. R. Forrest and M. Shtein : Nature Communications, 6(2015), 1-6.(7) 真田篤志:電子情報通信学会大会講演論文集, (2006), SS.38-SS.39.(8) R. M. Nevill, F. Scarpa and A. Pirrera : Sci. Rep. 6(2016), 31067.(9) 北津裕明, 石川豊, 中村宣貴, 路飛, 椎名武夫:日本食品保蔵科学会誌, 34(6)(2008), 331-336.(10) 杉山儀, 原田 真, 柴田佳孝:あいち産業科学技術総合センター研究報告, (2016), 152-155.(11) 松嶋秀士, 吉田博:土木学会年次学術講演会講演概要集, 64(2009), 173-174.(12) 磯部翠, 奥村剛:日本物理学会誌, 72(5)(2017), 360-363.(13) 仲野純章:理科教育学研究, 58(3)(2018), in press.(14) 科学の実験編集部:先生と生徒のための物理実験, 共立出版, (1959), 50-51.(15) 気象庁:平成28年12月地震・火山月報(防災編), (2016), 106-119.(16) 総務省消防庁:東日本大震災記録集, (2013), 86-90.(17) 国崎信江:地震から子どもを守る50の方法, ブロンズ新社, (2005), 20-21.(18) 高橋文雄:東日本大震災直後の被災地で, 近代消防社, (2016), 51-54.(19) 内閣府ホームページ(http://www.bousai.go.jp/jishin/).(20) 九州大学施設部施設管理課:地震による非構造部材・実験機器等の転倒・落下防止対策に向けて~未曾有の震災等に備えて~, (2012), 1-16.(21) 門田和雄:トコトンやさしいばねの本, 日刊工業新聞社, (2016), 58-73.4.おわりに謝辞

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