4/2017
21/50

だ(6)。<参考文献>パソコンネイティブと言われる児童生徒たちが学ぶプログラミング学習は,特に他教科との区別なく学ぶ教科の1つであると言える。近年,英語教育は,グラマとリーダーとコミュニケーションで組み立てられているが,同様に,プログラミング教育においても,グラマとリーダーとコミュニケーションの3分野から成り立っている。いずれも言語教育である。プログラミング教育では,働きかけたこと(入力したこと)に対して,「どのようなメッセージが返ってきたのか」,「コンピュータはどのような処理をしたか」,「自分の意図が通じたのか」を試行錯誤し体験させることに終始する必要がある。地道にこの作業を続けることで,次の学びのステップとして,自ら解説書を読み,他者が作り上げたプログラムに興味を持ち読み始めるのである。解説書や他のプログラムとのコミュニケーションが学びの過程においては,「気づき」,「発見」,「喜び」となる。以下,プログラミング教育の一斉授業での授業方法について注意すべき点を紹介する。①プログラムはみんな違ってあたりまえ学習者の会話の相手はコンピュータであり,気づいたり,発見したりするタイミングが異なる。結論に繋がる経過も異なる。だから,「みんな同じでなくていい」ということが学びのキーワードとなる。②自学自習が基本的な学びの形プログラミング教育は基本的には個々のペースで学ばせることが効果的である。よって,的確な予習復習のためのたくさんの教材が必要となる。提示するファイルは「説明」→「自学自習」→「まとめ」の単純なスタイルがベストだ。自学自習中は進度も,つまずいている場所も異なる。「自学自習」時の教員の役割は,「はげまし」や「喜びの共有」だけでよい。③学習時のお互いの自然な話し合いが大切PCに向かっていても,同じ時間に同じ場所で学んでいるのだから,他の画面の変化は共有しアドバイスを与えあう学びが大切となる。学びは,「個」から「複数」へ,そして「集団」へと変化していく-19-(1) 文部科学省「教育の情報化ビジョン」の公表:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1387269.htm(2017/10)(2) 文部科学省「2020年に向けた教育の情報化」:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1369516.htm(2017/10)(3) アラン・ケイ:A Personal Computer for Children of All Ages, 1972(4) アラン・ケイWeb:https://www.mprove.de/diplom/gui/kay72. html(2017/10)(5) ICT教育活用研究所:http://www.el-labo.jp/microworld.asp(2017/10)(6) 栗田るみ子,山本恒:コンピュータと会話しながらプログラミングに挑戦,「城西大学更新制講習」(2017)ものである。④コンピュータも先生インタプリタは,入力に対して出力する,「それは,間違いだ」と先生が教えなくても,インタプリタからの出力で,学習者自身が確認できる。また,意図した結果が得られるか否かで解答を得る。コンピュータは学習者の働きかけに対して的確に反応してくれる先生でもある。⑤「正解」だけが「正解」ではないプログラムは「正解」が一つとは限らない。書かれたプログラムは個性が出て,他者と同じ解答であっても,効率的な書き方であれば学びの刺激となるのである。第4産業革命と言われる今日,パソコンでモノづくりが定着しつつある。今後どのような「モノづくりリテラシー」が必要か研究を進める。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る