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図12 プロダクトブランドQUIE<引用文献>触れ合うことが可能となり,そのコミュニケーションを通じて,直接顧客から情報が取れるなどのメリットがでてくる。それを実現するのは,トップダウンの指示に基づいた社員の力である。社員が力を発揮できるのは,経営リーダーの人間力といえるコミュニケーション力である。本稿は『経営者のセンスウェア -モノづくりのサービス・イノベーション-』と題する職業大フォーラム20161)での報告を共著者である西河の協力を得て,詳細に解説した。本報告の事例で取り上げたアーネストワンは,製造業とサービス業とを融合させることで,消費者と直結したイノベーティブなモノづくりに取り組んで,成功してきた。製造業とサービス業とが融合する垂直統合型ビジネスでは,サプライチェーンを一貫してコントロールできるため,ビジネスリスクを経営者が取る仕組みと,オペレーションの早さが重要になる。実現に当たっては,問題認識力とその問題を解決するための戦略立案力,組織を高い目標に向けて奮い立たせる指導力とコミュニケーション力が求められる。サービス化したビジネスモデルを構築することで,顧客と直接的に触れ合うことができ,そのコミュニケーションを通じて,直接的な情報が取れるなどのメリットがでてくる。しかし,ビジネスチャンスが多くなったとしても,顧客からの要求を実現するのはトップダウンの指示に基づいた社員の力であることを忘れてはならない。仕組みづくりだけでは,サービス・イノベーションが起きて,社会利益を享-14-1) 小平和一朗(2016.11.11)『経営者のセンスウェア -モノづくりのサービス・イノベーション-』,職業大フォーラム2016.第24回職業能力開発研究発表講演会 講演論文2) 小平和一朗(2014)『エンジニアに求められるセンスウェア』,開発工学,Vol.34 No.1,pp.47-573) 西河洋一,小平和一朗(2015)『経営者に求められるセンスウェア』,開発工学,Vol.35 No.1,pp.61-714) P・F・ドラッカー著,『マネジメント[エッセンシャル版](2001.12.14)-基本と原則(上田惇生編訳)』,ダイヤモンド社5) 週刊ダイヤモンド(2011.6.18)『ドラッカーが教える通り経営(坂巻久)』,ダイヤモンド社6) ㈱アーネストワンホームページ(2017.10.25),http://www.arnest1.co.jp7) マイケル・E・ポーター著,竹内弘嵩(2005)『競争戦略論1』,ダイヤモンド社受するところまで発展させることは困難である。成功モデルとして報告したが,それで終わりではない。経営者のセンスウェアを未来に向かって,日々磨きをかけなければならない。4.おわりに

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