3/2017
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図7 正面(外装を外したところ)組み込んでいる。モータに流れる電流を検出することにより,相手ロボットとの押し合いになった際,バッテリーやモータに負担をかけるのを防ぐだけでなく,膠着状態以後の動作の判断がより適正にできる。製作した相撲ロボットのプログラムは,特殊な処理を除けば以下の4つの処理に大別することができる。5.1 仕切り5秒待ちプログラム前述の通り,自立型の相撲ロボットは,審判の合図から5秒間停止状態でいることが定められている。5秒以内に動作すると,フライングと判定され,警告が与えられる。警告を2回受けると,相手方に有効1本が与えられることとなる。停止時間の計測は,審判のストップウォッチで行う。人の手で行うため,「はっけよいのこった」の掛け声とストップウォッチを押すタイミングなどは審判によって異なる場合もある。秒速数mで動くロボットにおいて0.1秒遅れることは致命的となる状況も出てくる。そこで,停止中にただ何もせずに停まっておくのではなく,停止中にもセンサの状況などを確認し,相手のロボットが自分のロボットよりも早く動くことがないか監視している。もし,自分がカウントしている時間よりも早く相手が動けば,こちらも直ちに停止状態から抜け出し,立ち会い動作プログラムに移行する。-43-5.2 立ち会い動作プログラム立ち会い動作とは,5秒後に相手ロボットと接触する前段階で,相手に対して優位な体勢を取るように行う動作のことをいう。相撲ロボットの底面には磁石が取り付けられ,鉄板土俵に吸着して動作している。相手のロボットの下に入りロボットを持ち上げることで,磁力が弱まり押し出すことができる。正面同士の接触ならば,先端のブレードの出来や調整具合で勝敗が決まるが,斜めや横から相手のロボットに接触すれば簡単に持ち上げることが可能となる。これを「角を取る」と表現し,ロボット相撲においては,角を取るとこが勝利への大原則となる。相手ロボットの角を取りに行くためには,左前もしくは右前に出てから方向を変え,相手に向かっていく等という動作が必要になってくる。しかし,ここで注意しなくてはならないことは,自分が動いているときには相手も動くということである。そのことを考えてプログラムするか否かは大きな違いが出てくる。自分のロボットよりも相手のロボットの方が極端に遅い場合を除いて,立ち会い動作中もセンサで情報を収集し,不利な体勢でないかを判断している。もし,不利な体勢と判断すれば立ち会い動作を中断し,通常動作プログラムに移行する。5.3 通常動作プログラム通常動作とは,立ち会い動作以後の動作のことをいう。基本的には,①相手に向かって「突進」する,②相手が来るのを「待つ」,③状況が不利なら退く(「逃げる」)の3種類である。この3種類の動作を,スタート前の段階でスイッチにより選択しておき,取り組み中も相手を検出するセンサ,持ち上げ検出センサ,過負荷を検出するセンサなどで状況を判断し,動作を変えていく。通常動作プログラムでは,上記①~③を状況によって使い分け,角が取れるようプログラミングしている。5.4 白線処理プログラム白線処理とは,土俵の俵(白色)を検出した場合5.制御プログラム

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