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職業能力開発総合大学校技能五輪全国大会技術委員長 岡部 眞幸1963(昭和38)年にスタートした日本の技能五輪全国大会(以降,「全国大会」という。)は,本年11月に第55回を迎え,実に半世紀以上の歴史を歩んでいる。全国大会は,日本の技能競技大会の中でも,競技職種数,参加選手数,観客数,競技会場のいずれの規模においても最大のイベントになっている。全国大会では23歳以下の青年技能者が主役であり,日頃の訓練成果を余すところなく発揮し,技わざの日本一を目指して競技に臨む。若く伸びしろの大きい技であるがために,競技中は選手の指導者や観戦者のほうが息もつけないほどの緊張感を覚える。それほどに全国大会は,選手,指導者,観戦者のすべてを魅了してしまう競技大会であると言えよう。本稿では,全国大会の実施状況とその動向を図表で視覚的に説明し,読者諸氏に現状に関する理解を深めていただくとともに,職業能力開発総合大学校(PTU:PolytechnicUniversity,以降,「職業大」という。)の教員が全国大会の競技運営や技能振興にいかに関わり支援しているかを紹介してみたい。2.1 全国大会の概要全国大会開催の第1の目的は,技能五輪国際大会(正式名称は「国際技能競技大会」。以降,「国際大会」又は「WSC[WorldSkillsCompetitions]」という。)へ派遣する日本代表選手の選考である。全-32-国大会開催年に23歳以下(一部の職種では国際大会に合わせ24歳以下)の者が原則として参加資格を持つ。第2の開催目的は,技能レベルを競うことで青年技能者に努力目標を与え,技能に身近に触れる機会を提供するなど,技能の重要性と必要性を国民に広くアピールし,技能尊重気運の醸成を図ることにある。現在,全国大会の主催者は厚生労働省,開催招致を行った都道府県(招致立候補なしの場合もあり),そして国の委託を受けた民間団体(現状では中央職業能力開発協会)である。これに後援,協賛,協力する各種法人,業界団体,企業等が加わり,大会運営と競技運営を強力にバックアップする。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構と職業大は,それぞれ全国大会を後援している。一方,全国大会の実施形態は基本的に都道府県対抗であり,参加希望者は所属する都道府県において地方予選を通過する必要がある。この地方予選には,技能検定の実技試験が有効活用されており,国家検定制度の普及促進も同時に図られている。全国大会の実施職種は,国際大会の職種内容との対応関係や適応性が検討され,日本が参加可能な職種を考慮しながら半世紀に渡り図1のように変遷してきた。国際大会の職種数が参加国数の増加とともに増え続けてきたことから,全国大会の職種数もこれに応じて増加していることがわかる。ここ数年の全国大会の実施職種に大きな変動は見られなく,表1に示す41職種があり,この中には日本独自の職種も含まれる。なお,第55回大会からは国際大会職種の移動式ロボットが全国大会職種として正式に加わ1.はじめに2.全国大会の実施状況連載企画:職業大と技能五輪 第1回技能五輪全国大会を支える職業大(PTU)

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