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全員を対象とした教材・訓練環境の改善による支援を行い,面談などの個別指導の場面では本人に合わせた個別の支援を行うことを検討するグループワーク演習を開発した。また,指導員が単独で支援をするのではなく,組織的に情報を収集し支援方針を決定する支援体制を構築することが大切である。そして,支援体制構築後は,情報共有を行ったり,専門家からのアドバイスを活用できなければ意味がない。そこで,仮想事例から,記録を作成したり,専門家からのアドバイスを活用する支援を検討するグループワーク演習を開発した。3.5 「就職活動の支援編」の開発支援体制を構築し,支援を実施していることで,就職活動についても効果的な支援を行うことができる。逆にいえば,支援体制もなく日常的に支援を行っていない状況では就職活動の支援方法は限られ,効果もあまり出ない。この研修では,「訓練の支援と支援体制編」の内容を実施していることで可能となる就職活動の支援方法を,演習を交えながら習得する。特に,就職活動の支援方法は,本人・家族が障害をオープンにするかどうかで,大きく変わる。その違いについて指導員は理解をし,本人・家族と話し合いながら方針を決定することが大切である。そして,必要に応じて,本人・家族の同意の元で,志望先企業へ情報を提供することもある。そこで,仮想事例から,企業へ情報提供する内容を検討する演習課題を開発した。また,履歴書指導や面接指導においても,行動特性に合わせた支援が必要になる。特に,支援機関で使われている支援ツールは有効であるが,そのままでは障害者向けであることが明記されているので利用できない。そこで,これらの支援ツールを一般校でも利用できるように検討する演習課題を開発した。研修シリーズを開始して以降,アンケートでは高-16-い満足度と活用度となっている。一方で,2日間の研修だと,全国的な指導員不足もあり忙しく,参加できる指導員が限られるという声もある。だが,法律上,研修期間は最低12時間と決まっている。ちょうどその頃,職業大では,新たに通信活用研修という研修制度を立ち上げた。これは,メール等の通信の方法による個別通信研修と集合研修を組み合わせた研修である。個別通信研修では,おおむね1ヵ月程度の期間で,職業大から送られる標準課題2問に取り組む。集合研修では,研修会場に集合して6時間の研修を受講する。研修修了要件は,個別通信研修の標準課題でC判定以上,かつ,集合研修6時間以上出席である。そこで,「理解と接し方編」の通信活用研修版の開発に着手した。まず,「理解と接し方編」のうち,演習部分である以下の4つを集合研修で実施することにした。⃝ 疑似体験演習⃝ 接し方演習⃝ 面談のロールプレイ演習⃝ 行動特性を把握する演習次に,残りの座学部分を個別通信研修にすることにした。ただし,前提知識のない状態で標準課題に取り組んでも回答することができない。そこで,標準課題に取り組む前に知識を学習するためのeラーニング教材を開発した。このeラーニング教材はDVDに収録され,標準的なPCを使ってDVDから直接動作させることができる。一般的にeラーニング教材というとネットワーク経由でサーバー上に教材が置かれているが,研修受講者のPC環境がばらばらで,セキュリティ上インターネットに接続できない研修受講者もいることを考慮し,DVD上で動作するようにした。そのかわりサーバーを使わないので,どこまで教材を進めたのか履歴を記録したり,あるいは小テストを実施して得点を集計したりできない。したがって,開発するeラーニング教材は,「理解と接し方編」で使っているスライドを自動的に表示しながら,説明を人工音声で喋る形式とした。また,人工音声では聞き取りにくい部分があるので,説明4.eラーニングを取り入れた研修の開発

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