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図3 話し方問題集きるようになった。また,各段階の間で,研修で学んだ内容を実際に実践する時間が確保できるので,一般校での実践状況に合わせて無理なく徐々に支援を充実していくことが可能になる。そこで「理解と接し方編」では,支援・対応ガイドを活用して,行動特性に気づくことができるとともに,訓練現場で実際に本人や家族と接しながら実態を把握する方法を習得するカリキュラムとした。これは,指導員が個人で実施可能な支援を中心に構成し,訓練環境や組織体制の大きな変更は不要な支援となっている。一方で,個人では限界があり,組織的な対応が必要であることを認識するカリキュラムである。次の「訓練と支援体制編」では,訓練生活や実習の場面での支援方法を検討できるとともに,支援機関との連携を含めた組織的な支援体制を構築する方法を習得するカリキュラムとした。これは,組織的な対応で実現可能な支援を中心に構成し,施設全体で取り組むことで個々の指導員の負担軽減と効果的な支援を実現するカリキュラムである。最後の「就職活動の支援編」では,組織的な支援体制が構築済みの状況を前提とし,就労に向けてのロードマップ,利用できる支援機関,そして本人への支援方法を検討し,コーディネートする方法を習得するカリキュラムとした。これは,本人との強固な信頼関係の下で,組織的な対応と専門的な支援ツールの活用で就職を実現するカリキュラムである。3.3 「理解と接し方編」の開発この研修では,発達障害と精神障害の基礎知識を学ぶだけでなく,接し方のポイントと行動特性の把握についても演習を交えながら習得する。特に接し方については,コミュニケーションに障害がある訓練生に対して,自分の意思を正しく伝えるために配慮した話し方をするのが大事である。そこで,支援機関に所属しているベテランの支援者へヒアリングを行ったが,配慮した話し方について特別に学んだのではなく,経験的に習得しているという結果となった。そのため,配慮した話し方については,豆知識のようなアドバイスが数多くあるだけで,-15-効率的な訓練方法は確立してない状況であった。そこで,配慮した話し方を整理して2つのステップで学ぶようにした。また,配慮した話し方のグループワーク演習を開発した。さらに,配慮した話し方は簡単には習得できないので,話し方問題集[6][7]を開発し,復習用として配布している。他には,疑似体験演習,行動特性を把握する演習,面談のロールプレイ演習も開発した。3.4 「訓練の支援と支援体制編」の開発この研修では,行動特性を考慮しながら支援方法を検討し,支援体制の構築と支援機関との連携を行うためのポイントについて,演習を交えながら習得する。支援方法を検討するには,行動特性の強みを活用できる場面を考えたり,弱みを強みに変える場面を考えることが重要である。そこで,訓練中は課題と思われてる行動特性が,どのような場面だと強みになるのか検討するグループワーク演習を開発した。また,一般校ではほとんどの場合,診断があっても本人・家族が周囲の訓練生へ情報をクローズすることを望む。他にも,本人・家族より先に職員が障害の可能性に気がつくということもある。このような状況の場合,周囲から目立つような支援,いわゆる特別扱いとみなされるような方法は実施できない。そこで,授業などの集団指導の場面では,訓練生

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