2/2017
51/60

-49-置していたが,これらは異質な内容である。従って,単位内の要素は同じレベルであることに反しており,その結果,「知識」と「技能・技術」の関係がわからなくなっていた。そこで,以下のような記述に改めた。①「技能・技術」の下位に,その技能・技術ができるために直接必要な「知識」を位置づけた。②1から20前後と不均一だった記述数を,重要度の高い順に「技能・技術」を3個とし,「技能・技術」に対する「知識」を3個として,総計を12個程度にした。それぞれの検討の考えは次のとおりである。①については,作業を行うためには,まず「何ができなければならないか」が優先されるとし,次に「できるためには何を知らなければならないか」という構成が自然であると考えた。②については,各作業の要素(知識,技能・技術)を全て抽出するのは膨大な時間を要するので現実的ではない。そこで,論理的思考の80/20の法則「重要なポイントは3つ,アウトプットの80%はインプットの20%によってもたらされる」(9)を参考にし,主要な3つを抽出することとした。体系データの見直し作業を通して今後の課題をまとめる。課題の抽出とまとめは,次のような手順で行った。まず,見直し作業を通して「体系の活用促進」に必要と思われる要因を,思いつくままにカード化した。これらのカード内容を分類して項目別(①体系の活用目的,②体系の活用方法,③体系の活用体制)にまとめた。次に,項目別の要因と体系活用状況(アンケート調査結果)を比較検討し,要因の内容を確認した。さらに,要因間の関連を検討し,全体像を特性要因図にまとめた。(1)特性要因の抽出「体系の活用促進」に必要と思われる要因(仮説)図3 データ構造の見直し(1)中小企業の実態に沿った見直し体系データの活用については,中小企業が中心であるにもかかわらず,大企業的な構成であった。つまり,体系データの組織構成をみると,部門1(部),部門2(課),職務(係)というように細分化されているが,中小企業では必ずしも部,課に分かれてはおらず,もっとゆるやかな体制で行っているという声が多く聞かれた。そこで,見直し作業に当たっては,部門1と部門2を部門に統合することとした。(2)データの不自然さに対する見直しデータの不自然さは,特に最少データの「作業に必要な知識,技能・技術」の記述内容に見受けられた。まずは,データ数についてである。作業に必要な「知識」または「技能・技術」の記述数が,少ないものは1個,多いものは20個程度と極端にばらついていた。このばらつきは,分析者の得意分野は細かく,そうでない分野は粗くなった結果と思われる。次は,「作業に必要な知識,技能・技術」におけるデータ構造のわかりにくさである。分析結果を単位に分類して構造化するときの原則は,単位内は同じレベル(種類,意味)であること,単位間は論理的に順序づけられていることが必要である(8)。構造化の原則に照らしてみると,「作業」を構成する要素として「知識」と「技能・技術」を同レベルに配4.課題の検討

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る