2/2017
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ヨーヨーには電子回路基板が搭載されている。基板にはヨーヨーの回転情報を検知するセンサ,ZigBee無線通信するためのXBeeが搭載されている。ヨーヨーから送られた情報を制御ユニットで受信し,その情報からマイコンでMIDI信号を生成する。そしてMIDI音源とアンプ・スピーカをライン接続し出音する。以降の項で詳細を説明する。3.2.2 ヨーヨー部ヨーヨーの回転や動きの情報を加速度センサで検知する。加速度センサの選定条件として,ヨーヨー内に実装できる大きさであること,ダイナミックレンジを適切に合わせられることが挙げられる。これらを考慮し,アナログデバイセズ社の加速度センサADXL001(250g /500g)・ADXL325・ADXL326を用いて試作を行った。ADXL001は1軸の加速度センサであり,測定範囲は±250gと±500gの2種類がある。ADXL325は3軸加速度センサであり±5gである。ADXL326は3軸加速度センサであり±16gである。いずれのセンサも5mm角とサイズも小さい。ヨーヨーに搭載した基板に実装する加速度センサの種類・位置が適切になるよう,複数の試作機を製作し改良を重ねた。図6に示した最終版電子基板は加速度センサADXL001(250g)を一つ使用したものである。この基板に実装した加速度センサはADXL001の250gタイプのもので,遠心軸方向にかかる加速度を検出している。この基板では中心から約11mmの位置に加速度センサを置いてヨーヨーを回転させたところ約200gの加速度が出ていることが確認できた。ヨーヨーは回転体であり,ヨーヨーからの信号を有線で受け取るのは困難であるためこのシステムでは,無線通信を行うこととした。部品はXBee(シリー-33-ズ2)通信モジュールを用いる。このモジュールはZigBeeという無線規格で通信を行え,国内でも無許可で使用でき,設定等も他のモジュールと比べて比較的容易に行える点が特徴である。このモジュールはアナログ・デジタル入力共に対応しているため,開発がしやすいことから無線通信のモジュールとして選定した。ヨーヨー部回路の駆動に使用したバッテリはFULLRIVER社のリチウムイオンポリマーバッテリー(二次電池)である。このバッテリは,室内用ラジコン飛行機に使用されているものであるため,軽量小型で充分な電流を流すことができる。使用したバッテリは3.7V・30mAhのものである。バッテリの選定条件として,小型・軽量であること,回路の駆動に適切な電圧であること,充分な電流を流せること,ある程度の時間(パフォーマンスの時間)は動作し続ける容量があることなどが挙げられる。XBeeが3.3V駆動であることや,本回路では約50mA必要であることを考慮した結果,このバッテリを選定した。無線通信ICとバッテリを回路基板に搭載したイメージを図7に示す。回路基板は切削機KitMill CIP100を使って製作を行った。KitMill CIP100はオリジナルマインド社製の基板切削用の3軸NCドリルである。回路基板専用の加工機のため,特別な設定をしなくてもプリント基板を製作することができる。また,CADソフトはDesign Spark PCBを使用した。これはRSコンポーネンツの基板用CADソフトである。フリーで図6:ヨーヨーに搭載の電子回路基板図7:無線通信ICとバッテリを搭載した基板

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