2/2017
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である。つまり音楽とヨーヨーパフォーマンスの調和を更に高いレベルで実現するにはヨーヨー自体が発する運動(運動・振動等)エネルギーの情報を音に変換し,ヨーヨー演技と楽器演奏を同時に行うことが望ましいと考えた。そこで本開発では,ヨーヨーにセンサを搭載し,ヨーヨーの回転や運動を,音や音楽の情報に変換するシステムを実装することになった[2][3]。2.3 ヨーヨー型電子楽器に求められるものヨーヨー本体に電子回路を搭載し,メロディーを鳴らしたり,LEDを点灯させたりする機能付きヨーヨーは既に市販されている。しかしながら,いずれもその電子回路や,回転体のチープさなどから,ヨーヨー自体の性能を大きく損ねていた。すわなち,高度な技に耐えられる性能を持つ機能付きヨーヨーは存在しなかった。さらに,機能付きヨーヨーの,電子回路によって発せられる音や光はシンプルで,高度なヨーヨーパフォーマンスで利用できそうなものも存在しなかった。そこで本開発では,より高いレベルのヨーヨーパフォーマンスツールの開発を目的とした。ヨーヨーとして高度なトリックに耐えられる性能を維持し,動きによって音色を変化させ,音楽を奏でられるヨーヨー型電子楽器を開発する。本開発のターゲットはヨーヨーパフォーマーである。一般的に手づくりの楽器は,ユニバーサルデザインや誰でも演奏しやすいコンセプトのものが多いが,本装置を扱うためにはある程度のヨーヨースキルが必要である。さらにヨーヨープレイヤーに受け入れられるものでなければならない。そのためヨーヨープレイヤーが好むデザイン・機能を意識し,スマートでストリート色が強いものを目指した。2名の学生がそれぞれ,電子制御部の開発,回転体およびシステム筐体の開発と,テーマを分担し実装が始まった。そして我々が開発を目指すヨーヨー型電子楽器を「轟」と名付けた。回転体を“車輪”のイメージに見立てて“車”の字をもらい,さらに回転するときの音を“轟音”と比喩したネーミングだそうである(学生談)。-31-表1 競技種目別特徴

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