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右より足助学院長,涌井さん,坂田さん,皆川科長,内田先生くのびのびとしていないものになっているとか。そうすると,そこは指摘をして,次はどうマイナスしていくかを考えられるようにアドバイスしていきます。-もちろん答えは教えないですよね?それだと私の作品になっちゃいますから(笑)-それは根気のいる指導ですよね。先生はどう直したら良くなるのかわかっているのに,学生自身で気づいてもらわないといけないわけですから。そのための連想ゲームなんです。連想して言葉をつないでいって,たくさんの言葉をあげておく。その上で,じゃあこの言葉はどれを表すのか?どう表現しているのか?と問いかけます。そうすれば学生は自分で何を作りたかったのか,何を意味したかったのかを考えるようになります。とにかくデザインの中に意味のないものや説明できないもの,「なんとなく」というものは入れないようにと指導しています。言葉で説明できないものは必要ないものだから入れるなと言っています。そのためデザインの中にはすべて自分なりに説明のつく要素だけが残ることになります。それと,ゼロの状態からなにか表現をしないといけないときに,いままでどんなものが市場に出ているのか,うけているのかは知識として整理しておく必要があります。いま何が・どんな形が・どんな色が流行っているという情報収集をして,いかに自分のなかでまとめておくかってことが重要です。-デザインというと,われわれ素人からするとパッと絵のアイデアをひらめくようなイメージを持ってしまいがちだと思うんですが,全然そんなことはないですね。すぐにひらめく人もいると思いますが,ゼロベースのところから何かを生み出すには,下調べし,そこからラフスケッチを描き,制作するものの方向性が間違っていないか確認するなど,試行錯誤するものではないかと思います。また,パソコンの前に座って制作しながら考えていては,表現する道具である-60-はずのパソコンに使われてしまい,アイデアや発想を狭くしています。アイデアやひらめき,自由な発想を生み出すには,考えた事や思ったものを良否に関係なく紙に書く,つまり手を動かす事が必要と考えています。紙に書かれたものを見渡すことで,脳が物事を整理しやすくなり,何かを生み出すきっかけになるのではないでしょうか。-こちらは立派な設備が揃っていて充実した訓練ができそうですね。そうですね。印刷機械は非常に高価なので,他施設にはなかなかないですね。当科では印刷の企画するところから始まって,デザインと印刷データを作って,さらに印刷して製本して製品にするという,印刷に関わる一通りのことが学べるというのが一番の特徴です。ものづくりの楽しさも辛さも知った上で,学院の2年間を過ごして欲しいと思っています。それを1年生のまだなにもわからない状態で,この表紙デザインコンテストで体験できるというのは,本当に良い課題だと思います。このコンテストを通じて,作品を生む苦しさというものも味わって,また次の課題に挑んでいってもらえたらいいなと考えています。-充実した設備で,指導にも熱が入るということですね。今回のインタビューを通して,北海道勢の強さの秘密を知ることができました。今後も活躍されますようご期待いたします。

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