1/2017
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図6 万能投影機の転倒図7 水道管破壊による地面陥没は10月になってからであった。図5の写真は実習棟出入口の外壁部分にヒビ割れが生じているところを示す。度重なる余震とともにヒビ割れは拡大し,酷いところは剥離に至っている。ヒビ割れや部分的破損は校内通路の数箇所で見つかっているが,多くの破損部分は校舎と通路をつなぐエクスパンション部に集中した。このエクスパンション部の破損は建物本体への構造的影響を及ぼさないように設計がなされている。実習棟は3階建てのA棟,B棟,C棟の3棟,主に1,2階に機械系,3階は電子情報系の実習場となっている。被災直後の実習場内は,平常の整然とした環境とは一変し,パソコン,書棚,重量級の大型工作機械でさえも所定の位置からズレ,その他たくさんの設備が転倒していた。図6の写真は機械系精密測定室の万能投影機が固定台の上で転倒している状況を示す。現在は,その時の教訓を活かし,パソコン,モニターなどOA機器やオフィス家具を地震から守るために「透明両面粘着ゴム」を手配,各学科に配-37-付し設備等の転倒防止に使用している。図7の写真は水道管の破壊により漏水し,土砂が地下に流出したことにより地面が大きく陥没した所を示す。この水道管の破壊により水道は利用できなくなるが,業者の確保が難しいため復旧に時間を要することとなった。また,建物周辺のアスファルト道路の一部には凹凸(おうとつ)が生じている。この凹凸は地中の排水管を破断させ,排水詰まりを引き起こすこととなった。地震直後,水道の他にも電気,ガス,電話回線などのライフラインといわれるものは停止状態にあった。電気は翌日17日に復旧したが,被災当日の連絡網として有効なインターネット通信が利用できなかった。また,非常用に準備された電話回線は確実には利用できず,代わりに個人の携帯電話が利用された。その他,本校への交通アクセスについては,通学の足となる公共交通機関JR豊肥本線は阿蘇方面での土砂流入などによる線路の不具合などで一部不通となった。本校の周辺道路において際立った被災は見られなかったものの,学生の通学範囲を見てみると,多くの橋脚が入口と出口の部分に段差が生じ,車やバイクの通行を不便(危険)にしていた。阿蘇方面から通う学生たちは,現在でもJR豊肥本線と国道57号線が両方とも利用できずに不便な通学を余儀なくされている。危機が発生した場合に,その影響を最小限にするとともに,危機状態からの脱出・回復を図ることを基本として,誰が何をすべきなのかを中心に「危機管理」が検討されている。3.1 本校の危機管理本校には火災,地震等の緊急時に教職員が迅速かつ的確に対応することにより,被害を最小限にくい止め,同時に,学生,来客等の安全を十分に図るため,「熊本県立技術短期大学校 緊急時対応マニュアル」が策定されている。想定されるトラブルは災害3.本校の危機管理と震災における対応

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