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図1 年齢3区分別人口の割合の推移(1)昭和55年(1980)以降,急速な円高を背景に国内の生産拠点は人件費の安い海外へと工場移転が進み国内製造の空洞化が顕在化しました。さらに,第二次世界大戦直後の昭和22年(1947)から昭和24年(1949)にかけての第一次ベビーブームに生まれた世代(団塊の世代)の定年退職による産業技術者の不足や企業内の技術の継承の断絶などの問題が懸念されました(図1)。このような,国内製造の空洞化や労働人口の変化により,ものづくりを基盤とする産業の重要性を見直すため,平成11年(1999)ものづくり基盤技術振興基本法が制定され,平成12年(2000)には「ものつくり大学」への取り組みの支援と人材育成の積極的活用のため,ものづくり基盤技術基本計画が策定されました。そして,ものづくりに対する社会的評価の向上と社会に貢献することを使命とし,高度な技能と技術を融合した実践的な技能工芸に関する教育及び研究を行い,加えて豊かな社会性・創造性・倫理性を身につけた技能技術者(テクノロジスト)を育成することを目的として,平成13年(2001)4月に国,自治体,産業界の支援の下,埼玉県行田市-1-に開学しました。ところで,本学は1学部(技能工芸学部)2学科(製造学科,建設学科 各科定員150名)及び大学院ものつくり学研究科ものつくり学専攻(定員20名)から構成されています。さらに,製造学科は,先進加工技術コース,機械デザインコース,電気電子・ロボットコース,情報・マネージメントコースの4コースからなり建設学科は木造建築コース,都市・建築コース,仕上・インテリアコース,建築デザインコースの4コースから成っています。本学の学びの特長として,1年間の課程を4つの学期に分けた4学期制(クォーター制)をとっているために1学期の各授業の授業回数は8回で完結しています。そのために各授業は短期集中型の授業が展開され授業の目的が明確になり,効率的に成果を得ることができます。また,両学科とも実労40日間(2ヶ月間)に亘ってインターンシップを実施し,企業などの生産現場・実務現場での研修を通して,ものづくりに関連する業務の様々な様態にふれ,工夫する力を養うとともに,仕事をする意味を理解し,自らの適正を見つめ将来像を構築することを目的としています。そして,インターンシップを受講した学生の満足度は97.4%と高い値であり,40日間の長きに亘る実習にも関わらず,「段取りの重要性を認識できた」,「自分の不足点が認識できた」など自身を改めて見直し,将来を意識することができたようです。一方,学生自らが立案し,制作する課外プロジェクトも活発です(図2)。●NHK学生ロボコン・・・課題に基づき学生自らが設計し制作しています。その実力は2007年準優勝,特別賞3回,アイデア賞1回の受賞歴があり,全国9ものつくり大学学長 赤松 明ものづくり立国に貢献するテクノロジスト

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