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図4 最適条件での投擲図5 実務テーマ指導セミナーの様子まず,実験の計画を立てたのち,動特性によるL18直交表を用いた直交実験を行った。その実験の様子を図3に示す。実験結果を解析し,最適条件を決定した。最適条件での投擲を図4に示す。2種類のボールは3倍程度質量が異なるが,ほぼ同じ飛距離となっている。受講生から驚きの声があがる瞬間である。次に,2つの目標値に対してチューニングを行った。最後に競技会を行い,優勝チームと準優勝チームにはT社より賞状と副賞を贈呈していただいた。受講者からは,実際に実習をすることで座学だけでは学べない知識が身についたと好評であった。「(3)実務で活用し成功体験を得る」のステップでは,実務テーマ指導セミナーコースとして,月1回T社とのセミナーを開催している。このコースでは,実務で困っている課題を取り上げ,実際に受講者にパラメータ設計を実践していただき,月1回のテーマ指導で解決していく。単に結果を出すことだけが目的ではなく,自立してパラメータ設計を使いこなすことができるようになることも目的として取り組んでいる。平成26年8月からセミナーを開始し,平成28年6月で23回目となり,これまで約12件の実務テーマを指導した。図5に実務テーマ指導セミナーの様子を示す。毎年3月には社内成果発表会を実施している。-19-また,平成27年6月には,MTシステムコース<実践セミナー>を実施した。MT(マハラノビス・タグチ)システムとは品質工学の一分野で,田口玄一が考案した多次元情報からパターンを認識するための情報処理技術である。MTシステムは,保健・医療の分野から,産業分野,企業経営の評価,福祉の分野へと活用の世界が広がってきている。産業分野では,工場や設備の稼動異常の事前検知技術,製品の特性検査の自動化技術,外観検査の自動化技術,振動や音の異常検知技術や成分分析の自動化技術などに応用されている。T社からは大型建設機械の健康診断などにより故障の兆候を事前に予測するシステムの開発にMTシステムを使いたいとの要望があった。このため,セミナーではT社の大型建設機械における稼働状況の多次元情報を題材として,MTシステムの基本的な運用方法を習得できるようにした。さらに,平成28年6月にはT社が協力工場を集めて,品質工学の概要,T社が四国能開大と品質工学に取り組みT社としての品質文化にしたいこと,協力工場にも品質工学に取り組み技術力を向上させて欲しいこと,などを伝える説明会を開催した。香 川での品質工学の広がりやセミナー受講者の増加などが期待される。平成25年度から平成27年度の3年間で,この4コースを17回開催し,17社のべ393名の方々に受講していただいた。セミナー後のアンケートで,240名中236名の98.3%の受講者に役に立ったとの回答をい

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