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写真12:卒研発表の様子(撮影角本)フィールド調査を実施する事によって,窓口担当者とのコミュニケーション能力の育成,調査準備への段取りの取り方,計測機器の使用方法の習得,集計したデータの解析手法の習得,フィールド調査はチーム編成して実施するので,チームで協同作業する事の大切さを学ぶ。現況分析能力の習得,まとめ上げた報告内容の発表能力の習得,フィールド調査から得られた知見によって,そこからの見通しを立てる目が養われる,理論構築への根拠を得る。これ等の教育的効果が期待され得ると考える。ここまでフィールド調査と言う形での色々な事例を紹介し,その考え方を述べて来た。中でも防災・減災に関する取り組みは,すべてのものづくりに関係する学科での実習課題に成り得る内容であり,この点での取り組みを開始し,その知見を開示して頂きたいと考える次第である。日本の立地条件に於ける地震災害を初めとする自然災害に関する防災・減災への取り組みを,それ等を自らの宿命的な課題として真に取り組んで行かない限り,日本の将来は見えて来ない(rf. 文献5. 参照)。これ等の諸条件を確率論的要素としてのみ扱っている間は,日本の将来は見えて来ないので有る。伝統的建物も規制対象からは外される訳であるが,それは取りも直さず災害弱者の立場に立つ事を意味している。少なく共,研究に励み,そこに自助努力 伝える能力を養う,タイトル発表,中間発表,最終発表と頭の中のデータは,一つにまとめ上げられて行く-44-を促す形での時代的進歩を取り入れて行く姿勢が強く望まれる。具体的にはシラバス作成時点に於いて,基本的には標準に準じた内容であるが,そこに新しい知見を入れて行く余地を設定し,各教育者が日頃から新しく取り組んでいる内容からの知見を開示して行く可能性を求められるのである。その目的のために各教育担当者は,新しい時代の動きや課題への取り組みに関して,新しい情報を探しに行くばかりでは無く,自らに新しい情報が入って来るネットワークの構築を図り,日頃からの実践的取り組み姿勢を持ち合わせている心構えと努力とが問われているのである。理解を深めるべく,以下に,補足説明を加えたい。・補足説明1:筆者自らも学生時代に,東京下町のフィールド調査を実施した事がある。これは折から環境問題が注目され始めた1970年頃であり,生活環境を調査する手法として生活環境指標なる考え方があった。関係の資料を貰いに関係省庁に足を運んだり,国民生活センターに足を運び,参考意見を伺ったりした。この生活環境指標に従って,東京下町地区を他学生に協力してもらいながら,パネルにまとめ上げた。当時の学園祭などで,調査結果を発表した。当時は,学会の準会員レベルであったので,学会発表の機会は与えられなかったが,一つまとめ上げると言う意志行為が大切であると考える。・補足説明2:フィールド調査と言うと東大の原広司研究室が,海外の集合住宅の調査などを実施したものなどが,当時雑誌などで発表されていた。もう一つ,明大の神代雄一郎研究室のデザインサーベイも一つの手法として特筆されるものがあった。これは漁村など,或る特徴を有する集落を,一夏5.フィールド調査からの成果6.まとめ7.補足説明として

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