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写真7:拝み部分(撮影角本)図1:叉首尻の納まり(図角本)図2:小屋組みレイヤーⅠ~Ⅴ今回の調査地点は遠方でもあり,夏と冬の二回の調査実施は,費用面から無理なので,テーマを「合掌造りにおける夏の防暑効果」に絞った。調査レベルに関しては,機会ごとに助言を加える事で実施可能な内容であると判断した。調査家屋が我々卒研チームの宿泊先でもあり,夜にはこれ等の合掌造りの改修を手掛けている渡りの大工さんのお話しを伺う事も出来た。成果物としては,作成図面・写真データ・気流データ・温湿度データ・データロガーの記録データがあり,これ等をまとめた報告書の作成であった。この作成した一冊を教育委員会へ提出する事が,調査許可条件の一つとなっており,これを実行した。新しい知見として受け止められた事は良かった。最後に,卒研発表に臨んだ。皆,実感を持って作り上げた研究成果であるので,自信を持って発表する事が出来ていた。このチームも何人かは,先の応用課程への進学者であったので,次の学年への伝達研修には協力を得る事が出来た。4.2.2 保存民家(綱島邸)この課題設定としては,保存民家を対象としたものである。この建屋の管理は,東京都が行っている。当該課と連絡を取り,調査協力を依頼し,図面を入手し,軸組み理解と1/10縮尺の模型を製作し,民家の小屋組みのメカニズムを理解した。設定レベルとしては,専門課程の学生さんには適していると考えている。成果物としては,写真データ・一部データロガーデータ・縮小模型等がある。小屋組み構成のメカニズム理解に役立てる事が出来た。-41-現地の建屋を訪れるとボランティアの方が,茅葺の虫駆除のために囲炉裏に薪をくべに来て居られた。夏でも,この様な努力が欠かせないのである。小屋組み理解のために軸組レイヤーを作成した。下から,レイヤーⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴと重ねてイメージする事によって,全体の小屋組み構成がイメージ出来る事となる。複雑な民家の小屋組み構成を,各層に分解して,説明図としたものである。レイヤーⅤレイヤーⅣレイヤーⅢレイヤーⅡレイヤーⅠ

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