4/2016
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写真2:蔵造り建屋(撮影角本)写真3:織物工場内部(撮影角本)写真4:母屋内部(撮影角本)写真5:実測風景(撮影角本)写真6:帳票記入(撮影角本) ここの温熱環境も調査した,蔵の耐火性能に加えて断熱性能も一定程度備えている これは織物工場内部の様子,時代の流れの影響を受けて様変わりして行く様子を留めている 工場と蔵造りの間にある母屋内部,古き良きレトロな雰囲気が漂っている空間,ここの温熱環境も測定した 右が工場側のレンガ壁,左が母屋側との間にある廊下部分,温熱環境の実測風景,高さを決めて温湿度・照度・気流速等を2時間ごとに計測した 実測現場では計測データを帳票に記入して行く,其々の役割分担作業である-40-現地でのデータは,データロガーに記録されると共に,デジタルカメラにも記録され,現地でノートパソコンにも記録保存して行った。調査対象地は北関東であり,比較的にアクセスも容易であり,夏の実測と冬の実測の両方が可能となった。途中で,折からの繊維業界不況のあおりを受けて,オーナーさんが変わり,新しいオーナーの方が歴史的保存建物の中でパン工房を始めると言う形で,この登録文化財が使われる事となった。この方との連絡も取りながら,調査を終える事が出来た。お店の開店時期の関係の中で,夏の調査と同様に,冬の調査も実施出来た事は,新しいオーナーさんの御理解のお蔭であった。これも感謝に値する事。調査データをまとめて,新しい知見を得て,その根拠や裏付けを得て,客観的に理論を構築し,卒研発表会へと臨んだ。この時の実習生は,専門課程の上の応用課程へと進学したので,卒研の発表後の時間を伝達研修に協力的に割いてくれた。4.2 歴史的民家の建屋調査幾つかの民家の例を,以下に紹介する。4.2.1 白川郷合掌づくりこのテーマの設定は,筆者が日本建築学会の北陸(金沢)大会の折りに,途中,この世界遺産を訪れて,この家屋のオーナーさんから保存秘話を伺い,感銘を受けた事に始まる。その経緯を卒研生に伝えて,テーマ設定への賛意を得る事が出来た。調査依頼のために,改めてオーナーさんへ協力依頼の手紙を差し上げた所,まずは村の教育委員会の許可を取って欲しいとの事であった。教育委員会とのやり取りの中で,どの様な調査内容をどの様な方法で実施するのかを事前に知らせる事。そして調査実施後は,その内容を報告書の形で提出する事が,調査許可条件として義務付けられたので,その御指示に従った。関連の文献を事前に確認した上で,卒研生と共に実測調査の準備に入った。

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