4/2016
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写真1 ポリマーデシカント材写真2 調湿機能可視化用の簡易箱図1 調湿効果の簡易実験の結果表1 試験体概要樹脂(Super Absorbent Polymer,以下SAP)が有名だが,SAP粒子は自重の数百倍の水を吸収する優れた性能を持つが,デシカント材として使用した場合には放湿しくい性質(ヒステリシスロス)がある。これらの特性を向上させるために,親水性のカルボキシル基をもつポリマーをベースにし,吸湿性はゲル中の解離イオン濃度を高め浸透圧を高めることで制御する。また,放湿性はゲルの架橋密度により制御できる4)。ポリマーデシカント材を建築材料として使用するためには,既存の内装用左官材などと混和する必要がある。ポリマーデシカント材を活用した調湿建材の調湿機能が確認できる簡単な実験例を紹介する。外形45cm角の断熱材(FP板4cm厚)の箱を2つ用意し,ひとつには内壁と天井にポリマーデシカント材を10wt.%混和させたプラスター(左官材)を施工し,もうひとつにはビニールクロスを施工した(写真2)。この中に熱湯の入ったビーカーを入れ,箱内の相-11-対湿度の経時変化を測定し比較した。実際の測定結果を図1に示す。吸放湿しないビニールクロスでは,加湿直後に相対湿度は100%に達し,アクリル板表面に結露が生じた。一方,ポリマーデシカント材を施工した箱では,相対湿度の上昇は抑制され,55%程度で推移した。先に述べた湿気環境の快適範囲を維持する性質が確認できた。これらの材料が調湿建材として認定されるためには,調湿建材判定基準を満たす必要がある5)。その一つとして,中湿度領域(相対湿度50%-75%)における試験体の吸湿量が29g/m2以上という規定がある。そこで,プラスターをベースに表1に示す混和率でポリマーデシカント材を調合し,6種類の試験体を作成して,繰り返しの吸放湿試験をおこない性能を評価した。2.3 チャンバー法による繰り返し吸放湿試験試験体は恒温恒湿装置内に静置し(図2,写真3),温度を23℃に保ちながら,湿度変化が25%の矩形波となるように12[h]間隔で切り替え,1サイクル24[h]

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