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表5 設備の細目(製版科の抜粋)<参考文献>以上,希少科を中心に普段目にすることが少ない訓練科について紹介した。竹工芸科,陶磁器科の実習は“あぐら座”で行い,和裁科の実習は“正座”で行う。慣れないと少々きつい感じもするが,日本の伝統を継承する限りは,この姿勢をマスターしなければならない。同じようにヘルメットの着用や3Sや5Sを徹底することも同じ技能継承であると考える。そこには,安全,信頼,合理性が継承されている。前述したように,訓練基準(別表第二)が定めている訓練時間や訓練科目は,実施しなければならない最低限の基準である。この訓練基準をより具体的に示したものが教科・設備・技能照査の各細目である。教科の細目は,標準的な時間数や訓練内容等を示している。一方,設備の細目は,国の補助金を支出する際の参考基準ともなる。そのため,「新しい機器を追加して欲しい」,「台数を増やして欲しい」等の見直し要望が多い。表5は製版科の設備の細目(抜粋)である。高等学校卒業者等と中学校卒業者等では,実習場の面積が異なる。これは,よく誤解されるが,学歴による違いではなく訓練期間(高卒1年,中卒2年)による人数の違いである。また,30人又は50人を1訓練単位とした表記をしているが,20人や40人で行う場合については細目で示されていない。このように設備の細目の表記方法については,改善が望まれる。技能照査の細目は,当該科において習得すべき知識・技能の範囲を示している。そのため教科の細目と連動するのが原則である。技能照査の細目は,技能照査の試験問題を作成する際の指針となることから,重要なチェックリストともいえる。また,アンケート調査からは「当該科に関連した技能検定職種がない」,「教科書や技能照査の標準問題集が改定されていない」等の要望・意見も寄せられた。普通課程を実施するメリットの一つとして技能照査に合格(技能士補)すれば技能検定の受検にあたって学科が免除される点が大きい。しかし,技能検定の年間平均受検者数が100人に満たない職種-33-[1]調査研究報告書「職業訓練基準の分野別見直しに係る基礎研究」平成25,26,27年度 職業大基盤整備センター編も存在している。これについては,厚生労働省が関係団体や国民からの意見等を集約し,社会的便益の評価を行った上で統廃合等を含めた方向性を議論していくこととしている。厚生労働省では,技能検定の他に社内検定制度を設け,その普及に努めている。基盤整備センターが著作権を有する認定教科書は,118冊である。現在,利用者数が多いものから順次改訂作業を進めている。また,技能照査については,各施設が問題作成することを前提にした指針及び例題づくりを進めている。別表第二に基づく教科・設備・技能照査の細目等に関する調査研究を行った。見直しが必要と思われる個所については,修正案として取りまとめ厚生労働省職業能力開発局能力開発課に提出した。また,アンケートやヒアリング等の結果から,訓練基準の見直し要望や訓練の実施状況,課題等について把握することができた。特に,全国唯一の訓練科を運営する認定校をヒアリングし,業界における人材育成の意気込みを感じ取ることができた。最後に,基礎研究会の委員をはじめ委員の派遣やヒアリング等にご協力いただいた各職業能力開発施設並びに都道府県の職業能力開発主管課に御礼申し上げます。6.訓練基準の運用と課題7.まとめ

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