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出典:關宏之「障害者の就労の現状」社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座18就労支援サービス第4版』中央法規出版、2016年、39頁図2 わが国における就労支援にかかる諸制度(關, 2016)援など)から一般企業へ移行する人数は少なかったが,近年徐々に増加しつつある状況である。障害者の就労支援に関する取り組みは,労働行政(職業能力開発行政や職業安定行政等)の他,厚生行政,さらには特別支援学校など文部科学行政等でも行われており,その概要は図2の通りである。特に,職業訓練を専門とする読者においては,障害者職業訓練は障害者就労支援という一連の大きな施策・制度の一部を構成するものであることを理解されたい。すなわち,職業能力開発校以外にも障害者就労支援を行う様々な機関があり,職業能力開発校だけでは対応が困難な,生活上や就労継続支援等の問題 については他機関との連携が不可欠ということになる。職業能力開発行政では各種の職業訓練を展開しているが,障害者職業訓練という観点からそれらを-3-概観すると,特に障害者を対象とした訓練と,障害の有無に拘わらず離職者や学卒者を対象とした訓練とに分けられよう。障害者職業訓練という場合,双方に目を向ける必要があるだろう。ちなみに(障害者のみを対象とした職業訓練を除く)一般の公共職業訓練の受講者数は,離職者を対象とした訓練の受講者数が,平成24年度は約13.9万人,平成25年度は約12.9万人,平成26年度は約12.3万人となっている。また平成24年度から26年度まで,毎年約5800人程度が学卒者を対象とした公共職業訓練を受講しているとされる(厚生労働省中央訓練協議会,2015)。また,特に障害者を対象とした訓練に限定した場合の職業能力開発施策として,「一般の職業能力開発校への障害者の入校促進」「障害者職業能力開発校の設置・運営(全19校)」「障害者の態様に応じた多様な委託訓練(平成16年度開始)(以下,多様な委託訓練)」「地域における障害者職業能力開発促進事業(平成22年度開始)」の4つが,厚生労働省職業3. 障害者の職業訓練制度の概要

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