2/2016
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きちんと明記した方がいい。最近,求人票を持参してきた事業主に,釈迦に説法となるが,上記の意味合いを込めて,今や企業側に求人プレゼンが求められている,と説くケースも増えた。時には思いのほか事業主と会話が弾み,その挙句,求人票の添削まで進むことがある。余計なお世話であることは承知の上だ。なぜ,ここまで踏み込むかと言えば,求人票自体が魅力的でないと単なる紙切れ同然になってしまう。これでは意味がない。後で,出過ぎたことをしたかな,と反省することもある。だが,事業主の困った顔を一度も見ていないから,概ね歓迎されているのかな,と割り切るようにしている。当センターにはOAシステム開発科という訓練科目がある。このOA(Office Automation)という呼び名には何やら古典めいたものを感じるが,訓練している内容はJavaに代表される最新の情報処理だ。ところで,昨今の情報処理産業の急成長に伴い,当センターに集まる求人票の数もうなぎ昇りである。その中で,求人職種で圧倒的なのが冒頭に紹介したようなシステムエンジニアだ。そこで,システムエンジニアの仕事にからんだ就職支援の話をしてみたい。システムエンジニアの仕事を一口で言うと,顧客の要求を実現するシステムをつくることである。ここでいうシステムとは,例えば押しボタンで商品の案内表示を行う程度の簡単なものから,私がかつて関わった飛行訓練装置のような複雑かつ大規模なものまでさまざまだ。したがって,システムエンジニアの仕事も,狭義的にはハードウェアとソフトウェアを組み合わせてコンピュータシステムを設計すると定義されるが,広義的には,システム提案,要求仕様の分析,システム開発,プロジェクト管理,運用支援まで,人,モノ,技術すべてを含むと定義されることもある。さまざまな解釈が成り立ち,その仕事範囲も極めて深く,だからこそ興味が湧く仕事とも言えるだろう。-41-システムエンジニアに求められる資質について考えてみる。私は次の3つが当てはまるような気がする。(1) 論理的思考就職支援の立場から,システムエンジニアの魅力を取り上げれば,やりがいと誇りである。社会に役立つ仕事であると同時に,自身が託せる仕事であり,将来発展性の面からも家族も安心するに違いない。これ以上の魅力を持つ仕事が,他においそれとはあるまい。次に強調したいのは,創造力で未来を開くことができる,ということだ。創意・工夫を発揮することで魅力ある社会ニーズを追求でき,さらには自己の能力開発にもその創造力をあまねく応用できる。まさしく無限の可能性を秘めていると言っていい。システムエンジニアに求められるのは,システム開発計画,要求仕様に基づいた設計,プログラムの最適配置,それらをコンピュータ化する業務処理のための知識と技術能力である。とりわけ命題から処理,結論に至る,すべての過程における論理的思考が大事になる。(2) 時代に対する敏感さ先を見据えた戦略を立て,システムを開発しなければならない。そのためには,最新のシステム技術,将来予測,他社の技術動向,顧客の要求,自社経営方針,社員の職業スキルなど,広範囲かつ深い洞察力が求められる。問題を発見し,それをどう解決するか,先を見据えた判断能力も必要となる。これらのベースとなるのが時代に対する敏感さであろう。あくなき探究心と創造力が求められる。(3) チームで働く意義大きなシステムになればなるほど個人のスキルを引出し,そのベクトルを結合し,相乗効果を発揮する仕組みつくり,すなわちチーム力が不可欠となる。システムエンジニアは個人能力が大事だが,最終的にはチームで働き,全体として成果を出すことに大きな意義がある。システムエンジニアの魅力

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