2/2016
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図1 就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ(厚生労働省v)動は様々な場面・文脈で行われると捉えることができるが,本稿ではいわゆる狭義の職業訓練,すなわち労働行政,特に「職業能力開発促進法」制度下で取り組まれている活動を中心に扱うこととする。また,本稿で言う「就労」とは企業で雇用されて働く形態に加え,就労継続支援B型,就労移行支援等福祉サービスの事業所で働く形態も含むこととする。「就労支援」とは就労やその継続のための支援であり,職業相談,就職のための面接練習・履歴書作成の指導等とともに,職業訓練も含まれるものとするiv。まず障害者全体の状況について触れておきたい。障害者とは,平成23年に改正された障害者基本法では「身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とされる。すなわち,身体,知的,精神のいわゆる「3障害」に相当する人が原則的に障害者とされているが,「社会的障壁」にも言及することで制度の狭間で支援対象から漏れてしまう場合がないようにして-2-いくことも念頭に置かれている。実務上では,労働・雇用や,福祉・年金,教育などの法律や制度により,どのような状態が障害者に該当するのか異なる場合があり,留意や確認が必要である。障害者の数であるが,『平成26年版障害者白書』(内閣府,2014)によれば身体障害者390万人程度,知的障害者74万人程度,精神障害者320万人程度となっている。また,厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部(2013)によればそれぞれの障害によりどの年齢層が多いのかが異なるが,身体障害について言えば半数以上が高齢者(65歳以上)となっている。一方,知的障害者である療育手帳所持者は30代,精神保健福祉手帳所持者は40代の割合が多くなっている。また,生産年齢人口の定義(15歳以上65歳未満)に近い年代である18~64歳までの在宅障害者は約324万人となっている。次に障害者の就労支援施策の対象となる障害者数等であるが,障害者のうち,厚生行政の管轄する就労継続支援B型などの障害福祉サービスの中の就労支援を利用する人は20万人以上であり,一方労働行政の範疇である企業等で雇用されている人は約43万人となっている(図1)。また,かつては障害福祉サービス(現行制度では就労継続支援B型,就労移行支2. 障害者の状況,障害者就労支援制度の概要

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