2/2016
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及推進員の方の懇切丁寧なアドバイスがありましたので,助かりました。3.5  制度の活用による具体的な効果OJTとOff-JTを組み合わせた教育訓練を通じて訓練生の適性を把握できましたので,有期実習型訓練を実施した成果の1つは,配属先を効果的に決定できたことでした。文科系の学生に対し,「希望する職種は何ですか?」と尋ねると,「営業」や「一般事務」などと答えますが,これは,その職種しか知らないからです。当社では,国立大学の文系の学部を卒業した女性がCADやCAMのオペレーターとして活躍しています。また,教育体制の充実を図れたことも成果の1つでした。当初は,教える指導者側も,教え方がうまくありませんでしたが,「何を,どのような順序で,教えればよいのか」といったことを議論して結論を出し,教えていくうちに段々とうまくなってきました。正社員として採用した9人の元訓練生からは,「自分の役割を認識できた」「仕事の大切さと仕事をする意味が分かった」「仕事の楽しさを自分で見出すことができた」「責任感をもって頑張りたい」などの声が寄せられています。今回の有期実習型訓練を活用したことにより,あせらず,急がず,確実に訓練生を教育し,基本的なスキルを身に付けさせることを徹底するとともに,形に心を添え,訓練生の意識をしっかりとした形にすることができました。また,「訓練」や「教育」というキーワードが足りなかった当社に「学ぶ文化」を導入できましたので,継続して活用できる教育体制を充実させることができました。さらに,評価シートによって,同じ評価基準で社員個々人の能力や教育結果を正確に把握できるようになったことに加え,訓練生の取組姿勢が他の社員に波及し,挨拶や電話応対,仕事への取組姿勢などが全社的に向上したという波及効果もありました。有期実習型訓練は,教育に必要な経費を助成金で賄うことができますので,「時間的ゆとり教育」を可能にします。転職の多い人も,その原因を探れば,人間関係のもつれなどがありますので,当社として-35-は,働きたいという意欲が強い人の潜在力を重視し,意識を形に変え,適性を活かすチャンスときっかけを与えたいと考えています。即戦力よりも潜在力,いわゆる「伸び代」を重視し,汗を流す人材,まじめな人を採用し,成果に導くのが当社が果たす役割だと思っています。当社のような中小企業では,行政やアドバイザー,職場の先輩社員などが一体となった「共有」により,家庭の主婦などの時間的なハンディキャップのある人や高齢者に対して働くチャンスを与えることにより,「輝く人財」にしていかなければならないと考えています。本稿では広島商工会議所のジョブ・カードセンターを通じて行った,深江特殊鋼株式会社のジョブ・カード制度を利用した人材育成と正社員登用の取組みについて報告しました。木村代表取締役にご講演いただいた企業説明会の終了後に,参加者(経営者や人事担当者など)を対象にアンケート調査を実施しました。その結果,「ジョブ・カード制度を活用する難しさとメリット(国からの助成金による支援),事業所と訓練の指導者の役割,成果が分かりやすかった」「ユーモアを交えて説明したので,聞き手を非常にのめり込ませる感じだった」「働きやすい環境づくり,社員にチャンスを与えるための試みなど,考えさせられた」「社長の姿勢が会社に反映された感じ」など,大いに参考になったとの感想が寄せられました。また,同社との打ち合わせを重ねるうちに,訓練カリキュラムと評価シートを「見える化」して構築できたことから,「当社にとっての財産になった」と喜んでもらいました。次ページに訓練カリキュラム(資料1)と評価シート(資料2)を添付しますので是非ご参考ください。今後も「ジョブ・カード」を活用した「ジョブ・カード制度」の導入・取り組みによって,中小企業が抱える課題,訓練生が抱える悩みを解決していきたいと考えております。4. まとめ

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