2/2016
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表2 ARCSモデルの下位分類,および設定プロセスにおける問いかけ要因でとらえて,授業における学習者の学習意欲の分析や,学習意欲を高めるための方策の検討として注目されている。またARCSモデルの4要因には,それぞれはさらに3つずつの下位分類が存在する。表2はARCSモデルの下位分類である。この下位分類によって4つの要因の理解が深まるとともに,授業における問題点が分析しやすくなり適切な動機づけへ向けた方策が立てやすくなる。① 「注意(Attention)」ARCSモデルにしたがって学習意欲の要因をたどると,最初に学習者の好奇心と興味を刺激・持続させる「注意(Attention)」の側面にひかれる。下位分類として,学習者の興味・関心をひく知覚的喚起(A-1),不思議さや面白さから好奇心を刺激する探求心の喚起(A-2),マンネリを避けて注意を持続させる変化性(A-3)がある。注意の側面を満たされると,学びに集中できる状態になる。逆に注意が散漫であると,情報が入らないことになってしまう。② 「関連性(Relevance)」次に学習体験が自分に意義のあることだと信じられるようにする「関連性(Relevance)」の側面に気づく。下位分類として,学習した結果何が得られるかを明らかにして努力する価値を見いだす目的指向性(R-1),学習そのものを楽しむことでやりがいを見いだす動機との一致(R-2),学習が自分に関係が深いことを知る親しみやすさ(R-3)がある。何のために努力しているのかを理解し,やりがいがあると思えるかが重要である。③ 「自信(Confidence)」そして学習者が学習内容を学び課題を実際に達成できると「自信(Confidence)」の側面が刺激される。下位分類として,やれば何ができそうかを明確にしておく学習要求(C-1),成功体験を積み重ねる成功の機会(C-2),自分が様々な努力をしたから成功したのだと思わせるコントロールの個人化(C-3)がある。努力によって成功したと実感が得られるようにすることが大切である。-17-④ 「満足感(Satisfaction)」最後に学習を振り返り,やって良かったと「満足感(Satisfaction)」が得られる。下位分類として,努力を無駄に終わらせない自然な結果(S-1),教師からの激励,賞賛やクラスの仲間から認められるなどの肯定的な結果(S-2),えこひいきのない公平さ(S-3)がある。学習体験を通して満足感が得られれば次の学習意欲へとつながっていく。

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