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図1 ものづくり大学校(外観)兵庫県立ものづくり大学校 校長 大塚 悦夫兵庫県は、播磨・阪神地域を中心に、全国有数の工業地帯を有する「ものづくり県」です。重厚長大型産業の大企業から、優れた技術やノウハウを有する中小企業、多彩な地場産業や住宅生活系技能の産業に至るまで、幅広く産業が集積しています。しかし一方では、これを支えてきた技能の継承や人材の確保が深刻な課題となり、兵庫の強みである「ものづくり」の基盤を一層強めていくためには、人材育成の新たな拠点を整備する必要性が高まりつつありました。こうした状況から、兵庫県立ものづくり大学校は、①次代を担う人材育成、②匠の後継者育成、③技能レベルに応じた在職者訓練などを行う「姫路職業能力開発校」と、④中学生を主対象としたものづくり体験を通して職業教育を行う「ものづくり体験館」を一体的に整備し、学校教育から職業生活までの各段階に応じた総合的・体系的な人材育成拠点(=大学校)として、開校しました。図1に外観を示します。-32-当校は、70年にわたり姫路の地で職業訓練を行い、幾多の変遷を経て、平成23年4月、「姫路職業能力開発校」として新たに開校しました。これまでの修了生は一万人を優に超え、多くの方々が播磨地域を中心に産業界で活躍され、兵庫県下のものづくりを支えています。(1) 新たなものづくり人材と後継者の育成姫路職業能力開発校では、新規学卒者および求職者を対象とした1年間の職業訓練(住宅系、機械系および金属系分野:計7コース)と、求職者を対象とした6ヶ月間の職業訓練(機械CADおよび情報ビジネス:計2コース)を行っています。表1に訓練コース概要を示します。いずれのコースも実習訓練を中心とし、基礎的な技能習得はもちろんのこと、それぞれの専門について高度で多様な実習に取り組んでいます。例えば、一般住宅にも普及が進んでいる太陽光発電設備の施工工事(住宅設備コース:図2)など時代に即した先進的な実習や、在来軸組工法の模擬住宅を活用した左官作業などの伝統的技能の後継者育成にも資する実習など、特徴のある様々な実習を行っています。受講する訓練生の年齢構成や経歴は様々ではありますが、各人が、目指す就職に向け、国家試験や技能検定などの資格取得にも意欲的に取り組んでいます。また、訓練生の中には、日頃の訓練で習得した技能・技術を発揮し、さらなる技能向上を図るため、全国の職業訓練生と技を競う「若年者ものづくり競1. はじめに2. 姫路職業能力開発校兵庫県立ものづくり大学校の取り組み

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