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人口減少という局面を迎えた我が国の経済社会は、産業構造、顧客ニーズ、労働力需給等の変化スピードの加速が著しく、この状況下で生産性を向上し、国際競争力を維持するためには、新たな労働力の安定確保が求められる。そのためには、若者、女性、高齢者、障がい者、非正規雇用労働者等を含む多様な人材一人一人の能力を高めるよう、地域や社会全体の人材ニーズを踏まえた能力開発機会の提供を推進し、必要となる労働力を戦略的に確保する必要がある。厚生労働省の「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」の報告書(平成24年12月21日公表)では、「身近な地域で、必要な訓練を受けることができるよう、地域の能力開発の拠点として、コンソーシアム方式で、地域の公共職業訓練機関、大学等教育訓練機関を活用して、経済団体等と連携・協力しながら、地域や社会全体の人材ニーズを踏まえた能力開発機会を身近な場で提供していくことが必要である。」と提言されている。また、政府の「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)においても「地域レベルの産学官コンソーシアムの組成による就職可能性を高める訓練コースの開発実施」が決定されたところである。これらを踏まえ、厚生労働省は、平成26年4月1日に「地域の関係機関の協働(地域レベルのコンソーシアム)による職業訓練コースの開発及び検証実施事業(以下「コンソーシアム事業」という。)の実施要領」を定め、この事業の実施体制には、高齢・-9-障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)が主体となって取り組むことが明記されている。事業年度が2年間であるコンソーシアム事業は、全ての都道府県において計画されており、平成26〜27年度が北海道、宮城、千葉、東京、長野、愛知、大阪、広島、愛媛、福岡の10か所、平成27〜28年度が15か所であり、平成28〜29年度は、新たに22か所が予定されている。大阪では、平成26年度から関西職業能力開発促進センター(以下「ポリテク関西」という。)に「大阪府地域訓練コンソーシアム」を設置し、大阪府、大阪労働局、企業・事業主団体、労働組合、民間教育訓練機関、工業高校等関係機関の代表者が協働し、次項について協議しながら取り組んでおり、本稿では、この状況について報告する。① 地域の企業ニーズ等を踏まえた離職者向け職業訓練コースの開発及び委託訓練の実施を通じたカリキュラムの検証(以下「検証訓練」という。)に関すること。② 地域のものづくり産業の人材育成ニーズに対応した在職者向け職業訓練コースの開発に関すること。③ 職業訓練のベストミックスの推進についての2.1  事業の趣旨産業界のニーズに応じた職業訓練を推進し、若者の安定的な就職の実現や成熟産業から成長産業への労働移動を支援するため、地域レベルのコンソーシ検討に関すること。1. はじめに2. コンソーシアム事業の概要~大阪府地域訓練コンソーシアムの取組み状況~関西職業能力開発促進センター 重谷 亮職業訓練のベストミックスに向けた実践報告

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