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このように競技は、単に出場を目指して技術や技能を習得するだけでなく、教え、伝える力も養うことができる。下記に、出場を目指した具体的な取組みと、後輩育成および学生が競技の審査や課題を作成した事例を示す。4.1  競技出場のための取組み4.1.1  電子機器組立て技術競技への取組み1年生の12月までは、授業内ではんだ付けやすずメッキ線の配線、プログラミング技術を習得するが、授業という限られた時間であるため、電子機器組立て技術競技ではその練習量だと入賞には至らない。そこで、2月もしくは3月の競技に向けて、1月上旬から放課後や土日祝日を用いて本格的に練習を開始する。まずは、はんだ付けの練習から始める。部品実装をせず、すずメッキ線の配線のみの練習をする。作業効率を向上させるためのリードペンチやニッパ、はんだこての持ち方から、すずメッキ線の曲げ方やはんだこてのあて方まで徹底的に訓練する。最初はすずメッキ線の浮きや直線性、基準を満たすはんだの量を追及し丁寧に配線する。次に、タイムトライアルをし、スピードを向上させる。スピードを上げると丁寧さがなくなるので、次に丁寧さを心がけ作業する。これらを繰り返すと、丁寧かつスピードのある作業ができるようになる。すずメッキ線の配線の練習を2週間程度続けた後、競技仕様をもとに競技で製作する機器の組立てからプログラムの書き込みまでの一連の作業を行ない、動作させることに専念する。最初の数台は仕様書を熟読し、丁寧に作業を行なう。次に、すずメッキ線の配線と同様に、タイムトライアルをするなどをして繰り返し訓練をする。作業を動画で撮り、自分の作業を確認することで作業手順等を再考し、短時間で作業ができるように各自工夫する。以上により、1台目は5時間程度かかっていた作業が、5台目には2時間程度、10台目には1時間程度になる。プログラミングは、2年生が課題を考えて、出場者である1年生がその課題を解くということを繰り返す。平成26年度は課題を8問作成し解いた。プログラミングはまとまった時間で集中して行なうと効-6-率よく習得できるため、組立てが上手になった5台目程度からプログラミングに取りかかり、プログラミングを主にして練習を行なう。約1か月半でこれらの練習をするためには、約80時間が必要であった。そのためには放課後および土日祝日を有効活用する必要がある。平成24年度から平成26年度までの3年間、秋田短大の学生は第1位を獲得した。秋田短大の学生の中でも練習を多くした学生が上位になっているため、練習の重要性があらためて認識できた。4.1.2  若年者ものづくり競技大会への取組み競技に出場する学生は、2年生の卒業制作の実習(総合制作実習)で、競技等に必要な電子機器の組立てやプログラミング技術を習得する。プログラミングは1年生の電子機器組立て技術競技で訓練し、組立てはユニバーサル基板や片面のプリント基板で訓練しているが、若年者ものづくり競技大会で使用する基板は両面のプリント基板であるため、新たに訓練が必要である。両面基板の練習は、技能検定2級の実技課題が良い。検定合格を兼ねているので学生も積極的に取り組むことになる。競技大会用の練習基板は7月中旬に手元に届くため、それまでは技能検定2級の実技課題である両面基板の練習と前年度の出場者が製作した組立て基板を用いてプログラミングの練習をする。技能検定2級の実技試験は7月上旬にあるため、試験後からであると競技大会まで1か月も無い中で練習をする。そこで、日ごとに計画をたて、進捗管理することが重要になる。学生主体で計画をたてさせ、学生達だけで進捗管理をしても良いが、仕上がりの目標を十分に把握している指導員が行なった方が短期間で習得度を向上させることができる。 実際には、指導員が課題を10問程度作成し、取り組む日程を決め、順に解かせる。その内2問は本番さながらにし、緊張感ある中で実施した。7月には総合制作実習が集中的にあり、その時間を使えるため、期間は短いが時間は取りやすく、放課後や土日祝日を入れて約100時間の練習を行なう

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