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メガープラグ外観(指導員は分電盤の近くで確認)従来の測定実習関東職業能力開発促進センター 神﨑 啓太郎ビルメンテナンス業における電気設備保全作業の中で、最も使用頻度の高い計測器が絶縁抵抗計(以下、メガーという)である。ビル設備員は、現場でブレーカがトリップすると漏電表示を確認し、過電流によるものか、地絡電流によるものかを判断する。地絡電流によるトリップの場合はメガーを使用して回路側の問題か機器側の問題かを判断し、事故点の切り離しを行う。これらの作業を迅速に行うことでビルのオーナーをはじめとするお客様からの信頼を高めることとなる。このように非常に重要な作業であるものの、訓練を実施するうえで屋内配線電路の絶縁抵抗を測定すると、ほとんどの場合が「良好(∞Ω)」となり、常に測定値が∞Ωの測定対象では訓練生の実感・興味が湧かないことも多い。今回紹介する絶縁抵抗不良発生プラグ(以下、メガープラグという)は既存のコンセント設備に対して絶縁不良の状態を再現できるようになっている。また、取り扱いが容易であるため、訓練生自ら不良箇所を設定し、別の訓練生がそれを探すというゲーム感覚でチャレンジすることができ、インセンティブも与えられる。-32- 来仙 昭久2.1  これまでの測定実習メガープラグを思いつくまでの絶縁抵抗測定は、筆者にとって苦手な実習の一つだった。というのは、おもしろ味のある測定対象がないからである。電気工事士試験の単位作業のような回路では現実味に欠けるし、施設で使用している既存のコンセント設備は通常絶縁不良ではないからだ。仮に既存の設備に絶縁不良を仕込んだとしても、測定専用の回路になってしまい、複数の訓練生を対象に実習を行う訓練では結果が分かった上での実習となる。その結果、ダラダラと惰性でこなすだけになってしてしまいがちである。このように従来の絶縁抵抗測定実習は、測定方法を紹介することがメインになって、実務に即した内容になっていなかった。1. はじめに2. これまでの絶縁抵抗測定実習の問題点とメガープラグによる改善絶縁抵抗測定を楽しくする「メガープラグ」〜壊れたパイロットランプを活用でき、たったの5分で作れてしまう〜

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