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写真8 仮設住宅(千葉県旭市) 内部環境測定写真9 仮設住宅(千葉県旭市) 外部ソーラー測定写真10 仮設住宅(千葉県旭市) 真北測定現時点での伝統構法の伝承は、風情としての形相因を伝えるためのもので有る。然しながら、自然災害としての地震災害が宿命的に有る日本の立地条件の中で、技術としての作用因や材料としての質料因が、其の儘の形で使われる事を意味するものでは無い事を、此処にはっきりと明言しておきたいと考える次第である。このための法整備が、今求められる次第である。(この項目での参考文献は、NO.2、17)。2.7 事例研究(東日本大震災仮設住宅の住環境調査)そして最後に、東日本大震災後の仮設住宅の住環境調査の実習に関する報告である。これは千葉県旭市に於ける仮設住宅での住環境調査の報告である。写真8は、データーロガーによる温熱環境他の調査である。結果として換気性能を向上させる必要がある。これは旭市に於けるソーラー発電量の予測シミュレーションのための計測である。これは建物の軸線を確認するための真北測定実習の様子であり、下げ振りを使用している。-26-これは建築の集合体としての街づくりを志向して行く時に、日本型の法整備に基づく規制では、どうしても後手に回ってしまうものである。リスク回避は法整備に基づくものであるが、その一方で、民需拡大は専ら従前の法体系の枠組みの中で実施されて行く訳である。この両者の時間的な乖離現象の中に、人々の生活の中のリスクが、見え隠れする。この法整備とアクションとの間のギャップを埋める方策を見つけない限り、日本に於ける災害リスク回避の日は、遠い道のりと言わざるを得ない。此れまで東日本大震災に関する調査や報告を、機会ある毎に、聞いて来た次第である。然しながら、その内容を次の機会に活かして行くべきであると、はっきりと明言している例は、余り聞かないと言える。次の機会を遠い先と捉えている感がある。(この項目での参考文献は、NO.9、16)、(尚、参考文献16と関連した内容で、千葉短大の総合制作実習卒業研究論文の文献は国会図書館に納められているが、一般の検索カタログに分類されてはいない)。これ等の伝統的技術としての作用因や材料としての質料因、古き風情を伝える形相因の要素が有り、一方の側の自然災害や地震災害に備えるための技術としての作用因やそのための材料としての質料因、近代的な風合いの形相因とが有る。それら両者を建築的次元に於いて併せ持たせる事は、不可能に近い事で有ろうし、適切な処理ではないと考える。先の東日本大震災に関する日本学術会議に於ける協議事項を参考にして考えると、日本の置かれている地盤面の働きそのものが、各地の場所によって異なり、又個々に特殊性がある。これ等全てを包括した形での建築教育の姿と内容は如何に有るべきか、この社会的課題の探究こそが、此れからの建築教育に課せられるべき課題である。日本の地理的条件下でのこれからの建築の有り方、そしてそのための建築教育の有り方と内容とが、今問われているので有る。3. 建築教育の社会的背景について

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