3/2015
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写真4 土壁造り部分模型写真5 小舞竹組 (エツリ)作業写真6 土壁造り本実習写真7 せがい造り軸組実習図13 せがい造り軸組図建物自体は耐火性能も高く、夏の防暑効果もある。低層の建屋が多く、自然災害被害を心配する事よりも、寧ろ、老朽化への対応の方が現実問題としての緊急度が高いと思われる。(この項目での参考文献は、NO.4、10、19)。2.6 事例研究(伝統的土壁造り)次に、和風の土壁造りに関する調査実習の報告である。土壁造りの実習を実施するためには、先ず、土づくりから習得しなければならない。其の手順は、荒壁土練り→水合わせ・切り返し→荒壁塗り→裏撫で→裏返し塗り→中塗り用土練り→貫伏せ→むら抜き→大直し→中塗り→仕上げ塗りこれ等の工程を実践的に習得した。写真4は、その習得のための練習台である。写真5は、竹割も練習して組んだ小舞竹組(エツリ)作業である。写真6は、これ等の集大成としての本実習である。実際の現場では、これ等の土壁工事は、寒くなる前の10月頃までに完了するのが基本である。其れに拠って、ひび割れを防止する。-25-我々に土練りの方法から、小舞竹の割り方から、小舞竹組(エツリ)作業の手ほどきから、土壁塗りの手ほどきから、一つ一つ懇切丁寧に御教え下さったのは、栃木市に居られる宮大工の方である。これ等の伝統的な構法を守って居られる方のチャンネルと我々一般の者とのチャンネルとが、必要に応じて、接点を持てるネットワークづくりが必要であると考える。良い建築を創って行くためには、良い人材探しが大切である。良い仕事を納めたいと思う人々の集まりとしてのチーム作りが必須となる。卒研としての総合制作実習の発表とまとめの際にも言及した事であるが、これ等伝統的構法の壁倍率の評価についても、評価基準の中に取り入れられて居り、其の更なる向上が望まれる所である。自然災害としての地震災害や津波災害は、東日本大震災後の各報告会に於いても言及されている所であり、昔も其の未発達の建築技術の中で人々はその対応に追われていた訳である。せがい造りは、舟を造る際の木組みの組み方であり、今回その構法を取り入れている。この実習の担当実習生は、会津の出身者であり、父上も大工業であり、その恩義に報いるべく、とても熱心に取り組んで居る姿が印象的であった。熱心さが上達の秘訣でも有る。

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