2/2015
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国立職業リハビリテーションセンター(以下「職リハセンター」という)は,厚生労働省により昭和54年に設置され,障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく「中央広域障害者職業センター」と職業能力開発促進法に基づく「中央障害者職業能力開発校」の2つの側面をもち,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営している.現在,身体障害,高次脳機能障害,知的障害,精神障害,発達障害を有する方たちを対象に職業評価,職業指導,職業訓練といった職業リハビリテーションを実施している.職リハセンターでは開所以来,視覚障害者を受け入れ,多くの修了生を送り出してきた.平成21年度には訓練コースが整備され視覚障害者を専門に受け入れる視覚障害者情報アクセスコースが設置された.重度視覚障害者がパソコン操作を行うためには視覚障害者用の支援機器やソフトウェア(以下「ソフト」という)に関する技能を習得することが求められる.視覚障害者情報アクセスコースでは事務系職種の就職を目指し,支援機器・ソフトを活用した事務処理ができるように職業訓練を実施している.地域障害者職業センター(以下「地域センター」という)は,障害者に対して職業評価,職業指導等を行うとともに,事業主に対しては雇用管理に関する相談・援助を行っている.また,各地域の関係機関に対しても助言や援助を行っている.-14-職リハセンターでは就職を目指す方を対象にした職業訓練(以下「求職者訓練」という)の他に,疾病や事故等により障害を受障し,休職中で職場復帰を目指している方を対象にした職業訓練(以下「休職者訓練」という)を実施している.求職者訓練は原則として1年(視覚障害者手帳の等級が1級,2級の者は導入訓練を含む1年3ヶ月)の訓練期間が設定されているが,休職者訓練は6ヶ月を基本として訓練時間を設定している.休職者訓練では職場復帰に必要とされる知識及び技能,障害特性に応じた補完方法を習得する.また,必要に応じて休職者を雇用している事業主に対して職務設計,職場環境の整備等の職場復帰に係る助言や支援を行っている.休職者訓練は事業主からの申し込みによって開始されるが,あくまで職場に復帰することを前提としている.この訓練は職場復帰の可能性を見極めるために利用することはできない.そのため,休職者訓練を始める前に休職者訓練の対象者・事業主・支援機関の三者間で十分に調整や相談を行う必要がある.職リハセンターに直接相談がくるケースもあるが,地域に根差した支援が可能である地域センターを経由して,相談・調整を行っていく方が望ましいと言える.休職者訓練の流れは図1の通りである.1. はじめに2. 職場復帰支援について中途視覚障害者の職場復帰支援に係る地域障害者職業センターとの連携について国立職業リハビリテーションセンター 相良 佳孝

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