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写真1 フリートーク会(公的職業訓練)風景-22-(平成26年7月3日)6.「職業能力基礎講習」と就職支援について7.意欲とコミュニケーション力向上の支援8.フリートーク会での議論 「職業能力基礎講習」は就職支援との区別が難しい。どこからが講習でどこからが就職支援になるのか,どう進めるのかに困惑する実施機関も多いであろう。 もちろん,制度上一定の区分けは必要であるが,現実の「職業能力基礎講習」は,就職支援と連続しており,一体的に展開するほうがうまくいくのではないだろうか。 例えば,ジョブ・カードの発行を目的化したのでは,それ自体の訓練の中で実施する意味が薄くなる。そのため,「職業能力基礎講習」での気づきをメモに書きとめるように習慣化し,キャリアコンサルティングでジョブ・カードをまとめるなど,「職業能力基礎講習」と連動させた活用も考えられる(ジョブ・カードそのものをメモにして活用するなど)。 また,グループやクラス全体に働き掛けをし,その成果を次の就職支援に生かしていくことで,集団指導を個別指導の中に取り入れた効果的・効率的な就職支援が可能になるであろう。 履歴書や職務経歴書の作成においても,実際にジョブ・カードを応募書類として活用する以外に,ジョブ・カードが,就職活動において,ほかの応募書類とどのような関係性があってどのように役立つのかをよく考えて作成支援することも必要と思われる。つまり,ジョブ・カードは,作成することを目的とするのではなく,自己理解のためのセルフディクショナリーとして位置づけ,応募先に合わせた柔軟な応募書類作成に役立てるなど,ツールの1つとして活用できるのではないだろうか。 受講者の意欲とコミュニケーション力の向上の支援のために,「職業能力基礎講習」のコースの役割が重要である。 「ワークガイダンス講師育成講座」の教材は求職技能と技術 1/2015者支援訓練の「職業能力基礎講習」に活用できるものであるが,「職業能力基礎講習」はさらに広範囲のビジネススキルにも対応する必要がある。例えば,ロジカルシンキングやプレゼンテーション,さらにマーケティング思考,発想法や問題解決技法の基礎レベルの研修も必要であろう。 こうしたカリキュラムは,講義形式よりもグループディスカッションやロールプレイングなどの訓練技法を活用して進めることになる。問題解決では,ケースを活用した事例研究やインシデントプロセスやKJ法を組み合わせた研修など,工夫をすることで,受講者の意欲を高めるのに役立つであろう。 「職業能力基礎講習」は名称が「講習」とされているが,受講者が能動的に分析したり考えたりすることで,気づきを促す訓練としていくことを推奨したいところである。意欲・モチベーションを高めるためには自分の問題や課題とすり合わせをしながら,学習目標を確認していく進め方が不可欠となる。 平成26年7月のフリートーク会では,①就職先を考えた訓練について,②人材マッチングについて,③訓練の受講者募集について,をテーマにしてフリートークを行った(写真1)。 求人ニーズを押さえたコースの設定をどうするのかというテーマでは,地域の行政機関と連携して新しいビジネスを創出するなど,既存のビジネスモデルにとらわれない産業を組み合わせて仕事を作り出

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