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3.2 物性試験3.3 圧縮試験図8 コンシステンシー図図9 粒径加積曲線図10 土の圧縮試験図11 荒塗り圧縮試験結果他機関と連携した取り組み1 1つ目の土の強度は土の粒度分布やコンシステンシーといった土自体の物性を把握することと,圧縮試験体を作成して圧縮強度試験を行うことで一定の評価ができる。2つ目の接合部の構造的評価に関しては接合部の引張り試験により接合部倍率を算出し,定量的に評価できる。3つ目の下地材の構成は実際の壁を作成し壁のせん断試験を実施し,壁倍率を算出することで定量的に評価できる。 これまで本研究において,関東北部で使用される土のいくつかに対して物性試験を行い,おおよそ土壁の基準に適していることを確認1)してきた。平成25年度はさらに茨城県桜川市真壁地区から採取した土,真壁地区に実在したT邸,M醸造で土塗壁として使われていた土をそれぞれ中塗土,荒塗土について計6種類の物性試験を行った。コンシステンシー図(図8)と粒径加積曲線(図9)を以下に示す。 コンシステンシーとは主に水量に起因する粘性体の流動性を表しており,土壁を施工する際の鏝塗りの施工性に密接に関係している。荒塗りに使用する土に対して中塗りの土は少ない水分で流動性が確保されることがわかる。 土塗壁に使用される土は,それぞれ基準強度2)が定められている。埼玉県深谷産,栃木県栃木市産茨城県真壁産の3ヵ所の採取地と塗り工程により分類した合計57体の試験を実施した。試験状況を図10,試験結果を図11,12,13に示す。 荒塗りに関してはすべて基準を満たしたが,中塗りおよび中塗りと荒塗りの併用タイプは深谷産以外すべて基準値を下回る結果となったため,今後壁のせん断試験と共に採取地等のさまざまな検証が必要である。この関係は土の粒度に大きく影響され,砂質分が多い土ほどコンシステンシーにおける含水率が低く,中塗り用の土に適度な砂を加えて作業性を確保していることがわかる。また,粒径加積曲線から粘土分,シルト分の粒度分布に差が出ていることがわかる。粘土分やシルト分が多く含まれると乾燥-3-時間が長期化し,施工性が悪くなる傾向があり採取した土によって施工性に差が生じることが推察できる。

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