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←貫←接合→梁←柱←間渡し→竹小舞土→図1 面内せん断試験機図3 土粒子密度試験器具技能と技術 4/2014図2 接合部引張試験機図4 土の圧縮試験風景3.1 試験の種類図5 小舞掻き-2-図6 土壁荒塗り図7 土壁の構造用されている,いわゆる“壁量設計”では,建築基準法施行令もしくは告示で規定された仕様の耐力壁を建物の規模に合わせて適切に配置することで成り立っている。しかし,告示等はすべての壁を網羅しておらず,告示以外の壁は壁のせん断試験の結果により,強度的性能を証明しなければ耐力壁として構造設計に盛り込むことができない。そのため伝統的な構造物のみならず,新たな工法等においても,民間企業を中心に精力的に強度性能評価が実施されている。 本共同研究においても,「とちぎ蔵の街職人塾」を中心とした民間企業が,関東北部を中心に施工している伝統的な構造物に用いられる各種施工方法について強度的性能評価を行っている。本研究以外にも,これまで関東能開大ではさまざまな企業の依頼により構造的な実験を実施してきた。平成26年度も面材を用いた耐力壁の性能評価について実験協力を行い,各種試験機を活用している。 共同研究による学生間の連携は,伝建地区防災研究開始当初は主体的に小山高専が全体のとりまとめを行い,実験を計画してきた。2年目より関東能開大専門課程2年生が実験をサポートし,3年目以降は関東能開大応用課程の2年生も実験に本格的に参加することになった。そして,平成26年度は関東能開大応用課程2年生6名が中心となって実験を実行し,小山高専5年生および関東能開大専門課程2年生4名が実験を補助する形を取っている。各年度当初は他大学や民間企業と学生とのつながりを深めるために伝統家屋の修復にボランティア(図5,6)で参加するなどの取り組みも実施している。このように他大学や学内での連携,さらには民間企業との共同研究により,学生は課題解決提案力,リーダーシップ力,チームワーク力,コミュニケーション力といったヒューマンコンセプチュアルスキルの習得力向上につながっていると考える。 さらに関東能開大においては,前述したように専門課程の2年生が総合制作実習の一環として応用課程2年生と共に実験に取り組むため,応用課程2年生に指導や相談を受けることで学生自身の専門性の開拓にも結び付く場合があり,応用課程に進学した際に継続して本研究に取り組む学生も少なくない。3.これまでの成果 土塗壁の構造的性能評価を行うには,系統立てた実験による評価が必要である。土塗壁を構成する主な要素は大きく以下の3つに大別できる(図7)。 1.塗っている土自体の強度 2.柱や梁等の接合部の構造 3.間渡し竹や小舞など下地材の構成

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