2/2014
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   ものづくりの現場において,「見える化」のツールとして掲示板が用いられる。本実習においても図9に示す掲示板に組立図,班編成と当番・役割表,加工担当と進捗表を貼り出し,誰もが状況を把握できるようにした。また,不良品記録書も貼り出して見えるようにした。活用方法は訓練開始時に掲示板の付近に集合し,点呼や指示のあとグループで当番や役割の確認や進捗の管理を行った。不良品の事例は訓練の格好の教材になるため,発生したら直ちに記録書を作成し,次回実習の点呼時に加工者が発生の原因や真因,対策などを全員の前で報告した。 加工では多くの指導点があったが,ここに主な指導を示す。⑴ 始業時,各グループの当番が汎用フライス盤にマシンバイスを取り付ける作業を担当した。そして取付時間を計測して競わせた。時間は1分前後から30分と平行出し作業の習熟にバラツキがあった。未習熟者には個別指導を行った。⑵ 加工手順書を作成して加工に臨むように指導したが,段取り不足が目立った。初めての経験であったためと判断し,後日,提出を求めた。⑶ 材料のバイス取付確認の方法やボーリングバー,メタルソー,タッピングボール盤などの加工方法を指導した。⑷ 図10に不良品を示す。多くは“うっかり”,“勘違い”,“思い込み”などのヒューマンエラーであり,加工者の確認不足を露呈した。ただし,ベースプレートの不良はマシンバイス1個で固定して-33-加工したため,両端部と中央部の厚さが大きく異なった。想定通りの不良であり,図11に示す二連バイスで加工するよう全グループに周知徹底した。⑸ バイス締め付け力の目安を知ることは圧潰キズ防止のため必要である。「機械要素設計」のねじの章で演習した。本科のバイスは手動ハンドル力の約100倍の締め付け力が材料に加わることを実践的に指導した。 測定および検査の状況は以下の通りであった。⑴ 部品の測定はおおむね良好であった。しかし,重要部の寸法ミスを知りながら組み立てまで報告しない件や加工不良の手直しミスによる再製作で組立検査が大幅に遅れたグループがあった。⑵ 組立品の精度は部品の公差の累積で決めることになる。どの程度の精度で加工・組み立てできるか判断を決めかねていため,完成品の検査では仕様を定めていなかった。このため完成品の評価・判定はできないが,静的精度検査では上板の平行4.1掲示板による管理4.2加工組立図加工進歩当番と役割不良品記録書図9 掲示板4.3測定と検査上板シャフトホルダ図10 不良品図11 二連バイスによる平面削りベースプレート実践報告

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